スーパーでよく買う食品の裏面表示を見たら
「たんぱく加水分解物」と書いてありました。
なんだかよく分からないですよね・・・怪しいです。
この「たんぱく加水分解物」とは、いったい何のことでしょうか?
タンパク加水分解物とは?
「タンパク質」を含んだ原料を、酵素、塩酸もしくは熱水を用いて加水分解したもので、主成分はペプチド、アミノ酸です。
「タンパク加水分解物」の分類
原料による分類
①動物性・・・肉や魚などの動物タンパク質を原料としたもの
②植物性・・・小麦や大豆などの植物タンパク質を原料としたもの
製造法による分類
①熱水分解
ラーメン屋でスープを作る時、豚骨や鶏を長時間煮込むイメージがありますよね。あれは、熱水でタンパク質を分解していますので、タンパク加水分解物、と言えます。
また、ご家庭で昆布やカツオ節からダシをとってる場合、その「ダシ」もある意味、「タンパク加水分解物」と言えます。
②酸分解
熱水で分解するのは時間が掛かるので、酸(塩酸)を加えて、短時間で分解したものです。
塩酸は、胃酸の成分ですので、胃での反応を体外で再現しているようなイメージですね。
③酵素分解
(主に微生物が作る)酵素の力を利用して、短時間でタンパクを分解させたものです。
醤油や味噌は、小麦や大豆のタンパクを麴菌の酵素で分解させるものなので、ある意味、タンパク加水分解物の一種と言えますね(食品表示上の分類は違いますが)。
「タンパク加水分解物」は、どんな味?
「タンパク加水分解物」は、いろんなアミノ酸やペプチドが混合しているので、一言で表すと「複雑な味」です。
一般的には、うま味成分のグルタミン酸が多く含まれていると考えられ、またペプチドにはコクを付与する機能を持つものもあることから、
ざっくり、「うま味」と「コク」を付与するもの、と言えるでしょう。
(参照:必須アミノ酸、ペプチド、BCAAって何? ~アミノ酸の味・構造・効果~)
タンパクの種類によってアミノ酸組成が異なる(例えば小麦のタンパクと肉のタンパクでは組成が異なる)し、また分解の度合によって、ペプチドの割合なども異なるので、ただ単に「タンパク加水分解物」といっても、一つの味を指すわけではありません。
危険性は?
タンパク加水分解物は、特に塩酸で分解する場合は、イメージ的に危険な感じがしますが、大丈夫なのでしょうか?
不安になったので調べてみました。
(参照:日本アミノ酸液工業会HP)
結論を言うと(詳細は割愛しますが・・・)、
酸分解タンパク加水分解物では、少量のクロロプロパノール類(3-MCPD、1,3-DCP※発がん性物質)を生成する可能性がありますが、ごく微量(そもそも醤油等にも含まれている)であり、コーデックスという国際規格を満たしているものであれば、健康への影響はないと考えられます。
アレルギーは大丈夫?
タンパク加水分解物は、上述したとおり、
植物性の場合は「小麦」「大豆」、
動物性の場合は「牛肉」「豚肉」「鶏肉」を原料としている可能性がありますので、
食物アレルギーのある方は、裏面表示をよく見て、気を付けるようにしましょう!
おまけ:今日の名言「困難は分割せよ」
やることが多すぎたり、目標が途方もなく大きいと、モチベーションが上がらないことがあります。
私はそんな時、このデカルトさんの名言「困難は分割せよ」を思い出します。
難しそうなこと(例;カレーを作る)でも、細かい一つ一つの行動(じゃがいもの皮をむく、具材を切る、炒める、ルーを入れる、煮込む・・・)に落とし込んでいけば、一つ一つは案外、簡単にできるし、少しずつ達成できてる感じもあり、モチベーションを維持しやすいです。
なんかやる気が出ないなー、と感じている方、ぜひ、困難を分割してみましょう!!
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本日のまとめ
・「タンパク加水分解物」とは、うま味やコクを付与する調味料
・「小麦」「大豆」「肉」などのタンパクを、「酸」「酵素」を活用して分解
・ 「困難」も「タンパク」も分解すると良いことがあるよ
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