ストレスがたまったときには、無性に甘いものが食べたくなりますよね!

この理由として、人はストレスや不安を感じるときに
エネルギー源である糖分を欲するため!と考えられているのですが、

このとき、甘味の感度は上がっている(甘味を感じやすくなっている)のでしょうか?
それとも、甘味の感度は下がっている(甘味を感じにくくなっている)のでしょうか?

様々な研究結果をご紹介します。

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ストレスや不安を感じたときの、甘味感度を測定する実験をしよう!
というのが今回のテーマなのですが、

 

実験をする上で、そもそも、
「ストレスや不安を感じる」という状態をどのように定義するのか

はかなり悩ましいところです。

 

ここでは、2つの実験をご紹介します!

 

 

1.自己申告させる

そもそも「あなたは不安がありますか?」みたいに
(実際にはそんな単純な質問ではないですが)

行動傾向や個人特性を測るいくつかの設問を自己申告で答えさせることによって、

「不安度が高いグループ」と「不安度が低いグループ」に分けさせる方法です。

 

この2つのグループで、甘味の感じ方を比べよう!というのが1つ目の方法です。

 

こちらは、「個人の不安特性が甘味感受性におよぼす影響」(著:加藤みわ子他)
という論文(以下、「文献1」と示します)に記載されている方法となります。
(大学生73名による実験)

 

 

2.不安を感じる環境にさせる

不安を感じる環境にさせるってどういうこと?と思う人もいるかもしれませんね。

 

こちらは、「不安がコーヒーの味評価に及ぼす影響」(著:図師直弥)
という文献(以下、「文献2」と示します)に記載されている非常に面白い方法なのですが、

 

まず、「リラックス条件」と「不安条件」を定義し、

リラックス条件では、実験前に「世界の車窓から」を15分視聴させます。

「世界の車窓から」は皆さんご存知だと思いますが、
世界中の鉄道の車窓から見える景色や、沿線の名所などを音楽にのせて紹介する番組です。

たしかにすごくリラックスできそうです。

 

逆に不安条件では、実験前に「仄暗い水の底から」を15分視聴させます。

仄暗い水の底から、はタイトルからしておどろおどろしいですが、いわゆる短編のホラーです。

たしかに見たらものすごくいやーな気持ちになりそうです。

 

こちらは大学生42名による実験で、条件を変更して2回行っているのですが、
2回目には「仄暗い水の底から」を見るのを2人が辞退したとのこと。
それほど結構しんどい映像のようです。

 

 

甘味感度は上がった?下がった?

「文献1」、「文献2」の2つの方法でストレスや不安の状態を条件づけた後で、

甘味感度(甘味を感じやすいか)について測定をしたところ、、、

 

「文献1」では、不安度が高い→甘味感度が高い!(甘味を感じやすい)

「文献2」では、不安度が高い→甘味感度が低い!(甘味を感じにくい)

という結果になりました!

 

 

なんで結果が違うのよ?

実験によって結果が異なることはよくあることなのですが、
なぜ異なった結果が出たのか、実験者の考察を見てみたいと思います。

 

それぞれの文献の「考察」部分を読んでみると、

 

「文献1」では、

不安度が高い

→急速な身体活動が必要なためエネルギー源としての糖分を欲する

→甘味感度が高くなった

 

 

「文献2」では、

不安な状況

→その状況を乗り越えるためエネルギーが必要となり糖分を欲する

→エネルギー摂取を促進する目的で甘味感度が低くなった

 

 

とあります。

途中までは考察が一緒なのに最後の結論だけ違っています!!!

 

 

 

結局どういうことだってばよ?

「文献1」では、糖分を欲する→甘味感度が高くなる

「文献2」では、糖分を欲する→甘味感度が低くなる

と考察しています。

 

糖分を摂取しやすくするには、
身体は甘味を敏感に感じとらないといけないんだから、
甘味を感じやすくなるはずだ!

というのが文献1の言い分で、

 

糖分を通常よりたくさん摂取するためには、
いつもより身体に糖の甘味を認識させないようしないといけないから、
甘味は感じにくくなるはずだ!

というのが文献2の言い分です。

 

 

個人的には、後者(文献2の言い分)の方が納得性が高いように感じますが、
(実際に他の研究を見ても不安度が高いときに甘味感度は抑制されるという報告は多い)

前者(文献1の言い分)にも一理あるように思います。

 

今回の実験では条件(自己申告か、動画を見て不安を感じさせるか)も異なっていますので、
そのあたりも結果に影響が出ていそうです。

 

 

私たち日本味覚協会でも、似たような実験で、

嗜好性と味覚感度の調査
(例えば、甘いものが好きな人の方が甘味感度は高いか?)
をしていますが、食べ物を変更するなど条件を変更すると

好き→感度が高い
嫌い→感度が高い

と、両方の結果が出てしまいます。

 

※例えば、

リンゴが好き→酸味の感度が高い

ピーマンが嫌い→苦味の感度が高い

という結果が出ています。

 

参考記事:「バナナとリンゴ、どっちが好き?」と聞くだけで味覚の良さが分かる?~すっぱい食べ物が好きな人は酸味感度が良い?~

参考記事:ピーマンが嫌いな人は苦味を感じやすい?~苦味感度と嗜好性の関係~

 

 

 

つまり、結局どういうことかというと、

一概には言えない

ということになります。

 

本当は「これだっ!!!」とバシッと言えればよかったのですが、、、

 

ただ、わからない、ではなく、
一概には言えないということがわかっている、という点は意味があることだと思います!

 

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本日のまとめ
・ストレスや不安を感じるときには糖分を欲する
・糖分を欲するときに甘味を感じやすくなるかは一概には言えない
・答えがない問題もあるのはわかるけど答えがほしくなります
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