嗜好性(美味しいと感じるか)と味覚感度(薄い味でもしっかりと感じることができるか)
については、相関関係がいまいちわかっていない分野で、
私たち日本味覚協会でもこれまでに様々な調査を行っています。
先日、甘味・うま味と嗜好性に関する内容は紹介しましたので、
参考記事:チョコを美味しいと感じる人は味覚が悪い?~甘味の嗜好性と味覚感度の関係~
参考記事:だしが好きな人はうま味感度が高い?~うま味の嗜好性と味覚感度の関係~
今回は塩味・酸味・苦味と嗜好性に関する調査結果をお伝えしたいと思います!
今回の調査では、127名の方を対象に、
・塩味/酸味/苦味の代表的な食べ物(ポテトチップス/レモンジュース/コーヒー)
を飲食してもらい、美味しいと感じたかを10段階で評価
・基本五味に関する味覚テストを実施し、味覚の感度を測定
を行い、嗜好性と味覚感度の相関を調査しました。
なお、嗜好性(美味しいと感じたか)については、
10点満点で評価してもらったのですが、以下のように区分をした上で分析しました。
1~5:美味しくない
6~7:やや美味しい
8~10:とても美味しい
では、調査結果を以下に示します!
・塩味(ポテトチップス)の嗜好性と味覚感度
・酸味(レモンジュース)の嗜好性と味覚感度
・苦味(コーヒー)の嗜好性と味覚感度
を一気に見せます!
なんと!
塩味・酸味・苦味においては、
「やや美味しい」(6点~7点/10点満点)と答えた人の方が味覚が良い
という結果になりました。
これはおもしろいですよね!
塩味・酸味・苦味については、
「とても美味しい」とか、「美味しくない」と答える人は、
実はその味をしっかり感じることができていない、ということになります。
ちなみに、
・甘味(チョコレート)は「美味しくない」と感じる人の方が味覚が良い
・うま味(だしスープ)は「美味しい」と感じる人の方が味覚が良い
という結果でしたので、
基本五味でも味によって嗜好性との相関関係が一律ではないと言えます。
※参考記事:味覚の「基本五味」とは?~基本味の定義と基本味に含まれない味~
※実際に自分の味覚感度をチェックしてみたい!という方は、是非「味覚検定3級」にチャレンジしてみてくださいね!
※楽しみながら簡易的に味覚をチェックできる「味覚検定チョコ」もあります!
以上、今日は塩味・酸味・苦味の味覚感度と嗜好性に関するお話でした!
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本日のまとめ
・塩味、酸味、苦味は「やや美味しい」と答える人の方が味覚が良い。
・甘味は「美味しくない」、うま味は「とても美味しい」と答える人の方が味覚が良い。
・味覚が良い人の方がなんでも美味しいと感じる訳ではないけど味覚は良い方がいいと思います。
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