閉店時間前に、スーパーで消費期限がせまった商品に値引きシールが貼られていると、
なんだかお得な気分になっちゃいますよね。

お店で販売される様々な食品には、消費期限や賞味期限が表記されており、
私たち消費者は、その情報をもとに、食品の安全性を判断することができます。

それでは、このような食品期限はどのように決められているのでしょうか?
現在検討されている「食品期限表示ガイドラインの改正案」とあわせて、解説したいと思います。

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食品期限の決め方は?

まずは、「消費期限」と「賞味期限」の違いについて解説します。

消費期限・・・腐敗、変敗、品質の劣化などがなく「安全に食べられる期限」
賞味期限・・・全ての品質が保持され、「おいしく食べることができる期限」

 

消費期限は、お弁当や調理パン、お惣菜、生菓子など品質(状態)が急速に劣化しやすい食品に表示されることが多く、

賞味期限は、スナック菓子、即席めん類、缶詰など品質の劣化が比較的穏やかな食品に表示されることが多いです。

また、消費期限、賞味期限はどちらも、定められた方法や環境で適切に保存した場合における期限となるので、注意が必要です。

 

それでは、消費期限と賞味期限は、誰がどのように決めているのでしょうか?

食品期限は、対象の食品を最も理解している人(製造業者、加工業者、販売業者、輸入業者)が、
微生物試験、理化学試験、官能検査などを実施し、
科学的・合理的な根拠に基づいて、客観的な期限を設定します。

 

詳細については、以下の記事に丁寧に記載してありますので、是非ご参照ください。

参考記事:「賞味期限」「消費期限」は誰がどうやって決める?~期限切れカンパンはいつまで食べれるか~

 

 

食品期限の見直しが検討されている?

消費者庁は、このような食品期限の表示方法関する現行のガイドラインについて、
食品ロス削減の観点から見直し、令和7年(2025年)中に改正することを発表しました!

消費者庁は、現行の期限表示の課題と目指す方向について、以下のようにまとめています。

※現時点(2025年3月中旬)の案を基に記載していますので、今後修正がある可能性がある旨ご了承ください。

 

○期限の設定を行う食品関連事業者等(表示責任者)

1.「5日ルール」ではなく「定義」に基づいて設定しよう!

「消費期限」と「賞味期限」は、前述したように、
安全に食べられるか/おいしく食べられるか、
という定義の違いがあるのですが、

実態調査によると、その定義を考慮せずに、単に「5日」で区別している事例が見られます。

つまり、期限が5日以内の食品は「消費期限」が設定され、
期限が5日を超えるものは「賞味期限」が設定されているということですね。
(私は5日ルールと呼んでいます)

 

改正案では、この「5日ルール」ではなく、
ちゃんと定義に基づいて消費期限/賞味期限の設定をしよう!と考えられています。

 

 

2.食品の特性等に応じて指標を設定しよう!

現在では、期限設定の際に、
必要以上に多くの指標で評価を行っている例がある一方、
これまでの指標では不足している例もあります。

このため、食品を最も理解している事業者が、
危険要因となり得る微生物の特徴(酸に強い、低温で増殖する等)を含む食品の特性などに基づき、
必要な指標を選定しよう!と考えられています。

 

 

3.安全係数を変えて期限を長くしよう!

そもそも安全係数って何?
という声が聞こえてきそうなので、わかりやすく例を挙げます。

 

ある食品会社では、賞味期限の設定方法として、

作りたてのものを「満点」とし、日数が経過するうちに品質がどれだけ落ちるかを食べて評価して、
独自の基準で定めた範囲を逸脱するまで(つまり美味しくなくなるまで)の期間を判断している、

とします。

 

賞味期限/消費期限の設定方法

上の図で言えば、80点~100点を合格として、10日間までは合格です!

ただ、この場合「賞味期限」を10日とするとギリギリになってしまうので、
現実では、安全をみて、賞味期限を8日と設定しています。

この「どの程度安全をみるか」というのが、「安全係数」です。

 

上記の例では、安全係数を0.8としていて、
合格の日数(10日間)×安全係数(0.8)=賞味期限(8日間)

と定めていることになります。

 

※この式からわかるように、
安全係数を長く設定すればするほど、賞味期限が長くなります。

 

 

これまでは、(上記のように)安全係数は0.8以上を目安に設定することが望ましいとされていました。

しかし!
実態調査によると、安全係数を0.8未満に設定している品目が約40%も存在していました。

そのため、期限を必要以上に短くする安全係数を設定することがないよう、
そもそも「0.8」の提示を見直し、
安全係数はできるだけ1に近づけることが望ましく、
安全性が十分に担保されている食品については安全係数を考慮しない(つまり安全係数を1とする)こともあり得る!

と改正案では考えられています。

 

 

4.賞味期限は過ぎても食べることができることを伝えよう!

「賞味期限」は、適切に保存していればまだ食べることはできる期限です。

そのため、事業者は、まだ食べることができる食品が廃棄されないようにするために、
消費者等から「まだ食べることができる期限」の開示を求められた場合には、
食品の特性等に応じて情報提供をすることが望ましい!と考えられています。

 

 

○消費者

「消費期限」と「賞味期限」に正しく理解しよう!

令和5年度の調査によると、
賞味期限について正しく理解する消費者は約53%しかいませんでした!

これらの用語の意味について、正しい理解を促す必要がある、と考えられています。

 

※ここまで記事を読んでいる皆様は、既に正しい理解ができていると思います!

 

 

○行政

指標や基準を見直そう!

行政や事業団体は、
改正後のガイドラインの普及啓発、
個別食品にかかる期限設定のガイドラインの見直しを行い、
食品の特性などに応じた指標や基準を示す必要がある、と考えられています。

 

 

以上!

まとめると、
食品ロスを削減するために、できるだけ賞味期限は長く設定したい!という思惑がある中で、
適切な期限設定(期限表示)の方法が見直されている、

ということだと思います。

 

これから正式に消費者庁から改正ガイドラインも発表されると思いますので、
ご興味のある方や、食品事業者の方は是非ご参照ください。

 

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本日のまとめ

・「賞味期限」は過ぎてもすぐに食べられなくなるわけではない
食品ロスを削減するため、期限設定の方法が見直されている
・期限間近の商品、ローソンとセブンでは割引シールの貼られ方が違って面白いですよね
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関連記事:食品ロスの現状、要因、対策は?~賞味期限「3分の1ルール」とは~

関連記事:賞味期限が切れた食べ物、いつまでなら食べる?~納豆と牛乳の場合~

関連記事:なぜ同じ飲み物なのに容器によって賞味期限が違うの?~「缶」「瓶」「ペットボトル」「紙パック」の保存性~

関連記事:食品表示の豆知識その①~食品表示法とは?~

関連記事:機能性表示食品とは?~機能性表示食品ではない「チョコレート効果」の考察~

 

 

参考資料:第5回食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会(2025年3月18日) | 消費者庁

参考資料:食品期限表示の設定のためのガイドライン改正案 見え消し

参考資料:食品期限表示の設定のためのガイドラインの見直し検討会取りまとめ案

参考資料:食品の消費期限・賞味期限“より長く”促すガイドライン改正案 食品ロス削減につなげるねらい 消費者庁 | NHK

参考資料:食品の“期限表示”ガイドライン改正案まとまる(日テレNEWS NNN) – Yahoo!ニュース

参考資料:賞味期限・消費期限“科学的、合理的根拠があればなるべく長く” 食品ロス削減ガイドライン改正案 消費者庁

参考資料:令和7年改正:食品期限表示ガイドラインの見直しと実務への影響 | 法改正モニター

参考資料:食品期限表示の設定のためのガイドライン改正案 公示 – イセ株式会社 | 包装・DX・資材供給を支援する総合商社

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