3/11で東日本大震災から4年ですね。
みなさん、防災グッズはそろっているでしょうか。
防災食(保存食)といえばカンパンです。震災後に購入した方は、そろそろ、賞味期限が切れる頃だと思います。賞味期限切れのカンパン、食べていいかどうかちょっと迷いますよね?
今日はそんな人のために、「賞味期限」、「消費期限」についてお話します!
基本的に全ての加工食品には、「賞味期限」又は「消費期限」のどちらかの期限表示が法律で義務付けられています。
※品質の劣化が極めて少ない一部製品(アイスクリームや砂糖、食塩、チューインガムなど)は表示の省略ができます。
・「消費期限」と「賞味期限」って何が違うの?
「消費期限」・・・安全に食べられる期限
劣化が早く、保存がきかない(目安:5日以内)食品に表示されます。
弁当、惣菜類、調理パン、生めん 等
「賞味期限」・・・おいしく食べられる期限
保存がきく(目安:6日以上)食品に表示されます。
ハム・ソーセージやスナック菓子、缶詰など
・誰が期限の設定してるの?
食品の情報を正確に把握している製造業者(メーカー)等が設定してます。
※海外食品の場合、輸入業者が設定します。
※国や地方自治体がガイドラインを定めています(ルールを決めているわけではない)。
※主に劣化の早い食品では、「食品衛生法」で、細菌や有害物質(ヒ素など)の規格が定められています。
・どうやって期限の設定してるの?
科学的、合理的根拠をもって適正に設定します(すごく抽象的な言葉ですが・・・)
一般的には
<理化学試験>
例えば、油脂の酸化度合や酸性度合(pH)、物の固さや、水分含量などを調べます。
<微生物試験>
一般生菌の数や、食中毒を引き起こすような有害菌の有無などを調べます。
<官能試験>
実際に食べてみて、味に変化があるかどうか調べます。
の試験法で期限を設定します。
・「理化学試験」と「微生物試験」と「官能試験」全部の試験をしなきゃいけないの?
そうではありません。食品によって(劣化しやすさによって)試験すべき項目は違います。
科学的、合理的根拠をもって説明できればよいので、極端にいえば、「官能試験」だけでも大丈夫です。
※但し、「食品衛生法」で規格基準のあるもの(卵、牛乳、肉、魚介類など)は、その基準(微生物や有害物質の量など)を満たすことを確認できる試験が必要です。
・「官能試験」でどうやって賞味期限を決めるの?
一般的な方法としては、作りたてのものを「満点」とした場合、日数が経過するうちに品質がどれだけ落ちるかを食べて評価して、独自の基準で定めた範囲を逸脱するまでの期間を決めます。
上の図で言えば、80点~100点を合格として、10日間までは合格です!
ただ、この場合「賞味期限」を10日とするとギリギリになってしまうので、安全をみて、賞味期限8日とします。
(どの程度安全を見るのかは、メーカーの判断に委ねられています)
訓練された人が評価した官能試験は、「科学的・合理的根拠」として認められますので、この方法で賞味期限を設定しても大丈夫となります。
※何を食べても「おいしい」と言う人が試験したら、賞味期限がすごく長くなると思われます^^
・僕の持ってる「カンパン」は賞味期限5年だけど、作ってから5年以上経過させて試験してるの?
この場合、さすがに作ってから5年も待って試験した後に販売するのは現実的ではないので、
・類似の製品から推定する
・加速試験から推定する
ことも可能です。
例えば新製品の「レモン味のカンパン」を作ったとします。この場合、既存製品で「普通のカンパン」があったとしたら、この「普通のカンパン」の賞味期限が5年以上であり、新たに原料として追加したレモン香料の賞味期限も5年以上であれば、この「レモン味のカンパン」も賞味期限5年、と推測されます。
また、温度や湿度などを高くするするなどして過酷な条件下で保存して、例えば「50℃で1年間保存しても大丈夫だから、常温で5年保存でも大丈夫」と設定できます。
※これには、その根拠となる過去の類似製品などでのデータが必要となります。
・そもそもなぜカンパンは賞味期限が長いの?
食品の品質を劣化させる要因としては主に
・微生物の繁殖
・油脂の酸化
があります。微生物の繁殖しやすさには、水分含量やpHが大きく関わっているのですが、カンパンはその名の通り水分も少なくて微生物も繁殖しにくく、また油脂も少ないので、トータルとして劣化しにくくなります。
・カンパンは「賞味期限」過ぎても食べれるの?「消費期限」はいつなの?
上述の通り、「賞味期限」はおいしく食べれる期限なので、賞味期限を過ぎたからと言って、食べれないわけではありません。
ただ、カンパン(などの「賞味期限」表示されてる食品)には「消費期限」が設定されていないので、いつまで安全に食べれるかは分かりません。つまり、自己判断です。
「賞味期限」は、間違いなく「消費期限」より短いので、「賞味期限」のうちであれば、確実に安全ではあります。
劣化が遅い食品の「消費期限」は自分の味覚(や五感全部)を駆使して、自分で決めます!(責任も自分です)
・なぜ全部の食品に「消費期限」を表示してくれないの?
ルール上、「賞味期限」を表示してるものは「消費期限」を表示する必要がありません。なぜかと言うと、個人的推測ですが・・・
・消費期限設定の根拠を示すのが難しいし大変
⇒例えば、カンパンは半永久的に大丈夫のような気もしますが、わざわざ10年とか20年の期限設定のための試験をするのは非常に大変です。
・そもそも賞味期限で十分長いから、安全のために余裕をもつ意味でも、敢えて消費期限は書かない
⇒無駄にギリギリの期限表示をしてしまうと、保存環境が悪かったり(開封したり)した場合には消費期限内であっても食中毒になってしまうリスクがあります。
・開封したら、「賞味期限」は変わるの?
変わります。
「賞味期限」は未開封で、適切な環境で保存した場合の期限ですので、開封したら「賞味期限」はあてにできなくなります。
つまり、開封してすぐ全部使い切る場合以外(開封後に保存する場合)は、いつまで食べていいか、すべて、自分で判断しなければいけません。この判断力を正常に維持するためにも、味覚力は必要です。
おそらく、
・購入して未開封で冷蔵庫に入れっぱなしで賞味期限が1日過ぎてしまったもの、より
・購入してすぐに開封してそのまま冷蔵庫に入れてて、賞味期限ギリギリ範囲内のもの
のほうが劣化が激しいので気を付けましょう。
・「消費期限」表示のある食品の「賞味期限」はいつ?
これもルール上、設定する必要がありません。なぜかというと、個人的推測ですが・・・
たぶん、たいてい賞味期限切れてるからです!
賞味期限切れてる表示がある食べ物は、買いたくないですよね(笑)
私は、ちょくちょく、閉店間際のスーパーにいって、お惣菜を半額になるまで待って購入しているのですが、(半額シールを持った店員さんとの駆け引きが重要です。なかには貼りそうで貼らないフェイントをかけてくる店員さんもいます・・・)
店員さんとの格闘の結果、半額になるものは、「消費期限」が切れそうなものですので、おそらく、「賞味期限」は切れています!
(「賞味期限」は作った人が決めるので、切れてないと言い切ることもできますが・・・)
特に、お寿司とか魚介類は鮮度が命とも言われてますし、店頭に並ぶ頃には、とれたての時と比較しておいしさは半分くらいになってるような気もします。でも、そんなこと伝えてほしくないです。期限を書けば良い、というわけではないのです。
作り手(メーカー)としては
・廃棄品を少なくしたいし、売上増やしたいので、なるべく賞味期限(消費期限)延ばしたい
・でも、安全第一だし、食中毒になったらすごく困るので、なるべく余裕を見て期限設定したい
という相反する気持ちを持ちつつ期限を設定しているのだと思います。期限設定も奥が深いですね。
—————————————————————————–
本日のまとめ
・「賞味期限」「消費期限」は、作った人が、官能試験などで設定している
・「賞味期限」しか書いてないものは、自分で「消費期限」を決めましょう
・個人的には、半額のお惣菜も(たぶん賞味期限きれてるけど)十分においしいです!
————————————————————————————
参考:農林水産省HP
参考 :「食品の期限設定の考え方と実例について」日本食品分析センター