同じ料理を食べても、出来立てで温かいものと、冷めてしまったものとでは、なんだか少し味が違うように感じますよね!
味覚と温度には、どのような関係があるのでしょうか?
今日は、温度による味の感じ方の違いについて解説します!
味覚と温度の関係については、様々な実験がされてきており、諸説あるのですが、
Hahn(ハーン)によって測定された「味覚の感度と温度との関係」に関する実験結果が、
一般的な説として広く認知されています。
本日は、「基本五味」
(参考記事:味の分類~5つの基本味「五味」~)
について、具体的に温度によってどのような味の違いが生じるのか、解説させていただきます!
甘味/うま味
Hahnの実験及び「甘味と旨味の味覚閾値における口腔内温度の影響」(秦朝子ほか)によると、
甘味とうま味は、体温に近いほど強く感じる!
とされています。
例えば、冷たいコーラがぬるくなる(体温に近付く)と、甘ったる~く感じますよね!
※ただし、甘味については、糖の種類により温度の感じ方は異なり、
例えば「果糖」は冷たい方がより甘く感じる、と考えられています。
参考記事:砂糖、果糖、ブドウ糖はどれが一番甘いの?
塩味/苦味
Hahnの実験によると、
塩味と苦味は、温度が低い方が強く感じる!
と言われています。
例えば、ホットコーヒーが冷めると苦味を強く感じる、
という経験をされた方も多いのではないでしょうか!
※過去に出演させていただいたテレビ番組「所JAPAN」でも、
塩味について、温度が低い方が強く感じる旨の解説をさせていただきました。
※ただし、塩味については、
ベルギーのルーベン・カトリック大学のKarel Talavera(カレル・タラベーラ)教授らの論文によると、
濃度が低い場合は、上記の通り温度が低い方が強く感じるが、
濃度が高い場合は、甘味やうま味と同様に、体温付近が強く感じるという報告もなされています。
酸味
Hahnの実験によると、
酸味は、味の違いは温度に影響されない!
とされています。
※ただし、「清酒に含まれる有機酸の酸味と飲用温度の関係」(島津善美ほか)によると、
・酸の種類(コハク酸、乳酸、リンゴ酸など)によっては、温度による味の違いが見られる
・アルコール(及び糖)と一緒に飲用した場合は、温度が高い方が酸味を強く感じる
といった結果も報告されています。
辛味(参考)
辛味は、厳密には味覚ではなく、痛覚の一種ではあるのですが、
実は辛味も、温度による味の感じ方に大きな違いがあり、
ホット系の辛味(唐辛子など)は、高い温度帯でより強く感じ、
シャープ系の辛味(わさびなど)は、冷たい温度帯の方が強く感じる、
とされています。
参考記事:辛味の基礎知識~「ホット系」唐辛子と「シャープ系」ワサビの違いは?~
まとめるとどういうこと?
これまでの話をまとめると、以下の図のようになります!
以上!今日は味覚と温度の関係に関するお話でした!
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本日のまとめ
・甘味とうま味は、体温付近が一番強く感じる。
・塩味と苦味は、温度が低い方が強く感じる。
・何気ない日々が幸せなんだよなぁと強く感じます。
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