YAHOO!ニュースにて
第6の味覚は「脂味」 米パデュー大の研究チームが発見
という記事がアップされていました。
面白くて気になるニュースでしたので、この記事に関する見解を(ざっくりですが)書きます。
記事の内容について、(他のニュースサイトの記事も含めて)事実のみをまとめると、
要約
・甘味、酸味、塩味、苦味、うま味に続く「第6の味覚」を、米パデュー大学の研究チームが発見
実験(調査)方法
・脂肪酸と他の5味の化合物を混合した溶液を用い、102人の参加者に対して知覚テストを実施。
結果
・多くの参加者は他の味と脂肪酸の有無を区別できた(溶液の匂いや食感に関しては同一になるようにした)。
・脂肪酸の炭素鎖の長さによっても他の味覚に与える影響は異なることが分かった(脂肪酸は炭素数の長さによって長鎖/中鎖/短鎖脂肪酸などに分けられる)。
ということのようです。なるほど。
味覚の定義について
現在、味覚の定義として
味覚:味蕾を構成する味細胞によって受容される(受容体がある)
(参照:味の分類~5つの基本味「五味」~)
と定義されています。
しかし、この記事によると、「脂味」の受容体が発見されたわけではないようです。
つまり、正直な感想としては、
この論文の実験内容と結果は、実はたいしたことは書いていない、と思っています、、(すいませんまだ論文を精読してないので実際はなんともいえませんが)。
じゃあ、「脂味」は味覚じゃないの?
いえ、そうとは一概に言えないところが、この論文の面白いところでもあります。
正直、みなさんも、経験的に「脂」があると味が違う(おいしい)ことは知っていると思います。
なぜ霜降り肉が美味しくて高級品なのか?それは、脂がほどよくついているからです。
この論文(記事)は、この、「脂があるとおいしいよ」ということを、100人くらいのアンケートで統計的にも確認したよ、っていうことのようです。
そして、その事実を言いたいだけではなく、
・「脂」は、味覚受容体がない(発見されていない)から、味覚とはいえない
という現状の説について
・でも、「脂」があると、味が変わるよ。これを「味覚」と言わず、何て言うのさ?
と、問題提起しているのです。
「脂」は、三大栄養素の一つであり、人にとって重要な栄養素です。
糖質⇒甘味、タンパク質⇒うま味、と、それぞれ味覚が対応していることから、脂質⇒脂味、という味覚があってもおかしくありません。
個人的にも、「脂があると味が変わる」というのは、食感や風味が変わるだけではなく、味そのものが変わる、というように感じます。
ただ、こんなふうに、
食感や香りを同じにして、100人くらいにアンケートして統計学的に「味が違う」と感じられたもの ⇒ 味覚
という定義にしてしまうと、「コク味」や「渋味」、「炭酸のシュワシュワ感」など、他にもあらゆるものが「味覚」の候補として挙げられるようになると思います。
「辛味」だって、現在は、「痛覚の一つ」として捉えられていますが、もしかすると、「痛覚」でもあり「味覚」でもある可能性だってあります。
こんな感じで、
「なんか感覚的に味が違う」 ⇒ 「味覚が違う!」
としてしまうと、もう収拾がつかなくなってしまう(表現の違いだけで、実際は同じものでも種類が増えてしまう可能性がある)ので、科学的に区別するために、現状の
「味覚受容体があるかどうか」
という定義に落ち着いているのだと思います。
とはいえ、「味覚」は「感覚」の一つです。「感覚的に味を感じるもの」は「味覚」である、とも言えるはずですし、現時点で味覚受容体が見つかっていないだけで、実際に存在している可能性も大いにあります。
「味覚」とは何か?
「味覚」の定義はどうすべきか?
改めて考えるキッカケとなる、素晴らしいニュースだと思います。
これで、「脂味」の味覚受容体が発見されたら、すごく大きなニュースになりますね。
この「第6の味覚」については、今後も注目していきたいと思います!
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本日のまとめ
・「脂味」は、第6の味覚の可能性があるが、科学的に証明されたわけではない。
・味覚の定義について、改めて考えるキッカケとなるニュースです。
・もしかすると5年後には7つの味覚「七味」になってるかも。※唐辛子のことではない
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