夏が終わりましたね……。
みなさん楽しい夏休みを過ごされたでしょうか!

昔は、毎年田舎のおばあちゃんの家に親戚みんなで集まって、「スイカ割り」をしてました。
そして、スイカに塩をかけて、「あま~い、おいし~い」と言いながら食べるのです。
あぁ、あの頃に戻りたいなぁ…。(切実に)

今日は、その「塩」(塩味)に関するお話です!

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どの味とも相性の良い塩の働き

 

冒頭で述べた「スイカに塩をかける」という行為は、味の「対比効果」を利用したものです。

これは、味の違う2つの刺激を同時に与えた時に片方の味が強調されるというもの。
ここでは、塩によってスイカの甘味が増強されています。
(スイカをしょっぱくしようとしているわけではありません)

 

また塩は、うま味成分とも相性がよく、
味噌とダシが組み合わせられることによって、みそ汁が美味しくなります。
(味噌だけ、ダシだけでは美味しくないですよね)

 

続いて、梅干しを想像してみてください。
実は梅干しは、塩が少し含まれることによって、梅の酸味を和らげているのです。

これは、片方の味がもう片方の味を弱める「抑制効果」が働いているため!と考えられています。

 

さらに、苦味を打ち消すためにも塩が使われています。
スポーツドリンクなどは、ミネラルを補給するために塩化カリウムが入っていることが多いですが、
これは単体だとかなりの苦味を感じます。
しかし!ここに塩を加えることにより、苦味を抑えることができるのです!

 

どんな味とも相性の良い塩の可能性は無限大ですね!

 

※対比効果や抑制効果の詳細については以下のページをご参照ください。

参考記事:なぜスイカに塩をかけるの?~隠し味の秘訣「対比効果」「抑制効果」「相乗効果」「変調効果」~

 

 

アミロライドとは

 

そんな万能な「塩味」を抑制する「アミロライド」という物質があります!

 

ヒトに対する「アミロライド」の塩味抑制効果を確かめるため以下のような実験が行われました。

 

【方法】9歳から21歳の健康な非喫煙者の女性をパネルとし、測定の際には口腔内に口内炎やう歯による痛みのないこと、食後1時間以上経過していることを確認した。
塩味のコントロール溶液にはNaClを用い、Na+とCl-の影響を調べるために対象としてCH3COONaとLiClの検討を行なった。あわせて、5基本味の他の4味スクロース、DL-酒石酸、硫酸キニーネ及びグルタミン酸ナトリウムについても同様にアミロライドの効果を検討した。
【結果】全口腔法上昇系列で求めた塩味NaClの認知閾値は、1.25mMであった。事前にアミロライドを味わった後の認知閾値は2.5mMとなり、アミロライドによる塩味抑制効果が認められた。
それに対して、他の4つの基本味では、甘味・苦味・うま味ではアミロライドの抑制効果が認められなかったが、酸味には抑制効果が認められた。アミロライド処理は、ヒトにおいて、塩味と酸味の応答はともに抑制されることが認められた。

(参照)「アミロライドの塩味抑制効果」小林三智子、岡田幸雄、戸田一雄

 

 

上記に記載されている「閾値(いきち)」とは、味を感知することができる最小濃度、のことを指します。

参考記事:閾値とは?なんて読み方?~味覚の検知閾値と認知閾値~

 

 

この実験を一言にまとめると、

「アミロライド」によって塩味の閾値が上がった!(塩味を感じにくくなった!)

⇒アミロライドには塩味抑制効果があるに違いない!

となります。単純明快な実験ですね!

 

なおこの実験から、
「アミロライド」は塩味だけでなく酸味も抑制する働きがあることが分かりました。

 

 

 

アミロライドのがん治療薬としての今後の展望

 

「アミロライド」は、細胞内のpHを維持する働きのある
「NHE-1(Na+/H+exchanger)」を抑止することができます。

 

「NHE-1(Na+/H+exchanger)」を簡単に言うと、、、

Na+とH+の交換器 です。

 

この「NHE-1(Na+/H+exchanger)」の働きを抑止することがなぜがんの治療と結びつくかというと、、、

 

まず、がん細胞は、内部がアルカリ性、外部が酸性となっています。
そのようにpHを保つことによって、がん細胞は生きているのです。

 

がんの進行を遅らせるには、がん細胞が生きにくい環境にする必要があります。
それはつまり、がん細胞内部のpHの上昇を抑止して、アルカリ化を防ぐということです。

このpHの上昇は、細胞膜にあるポンプの働きによって起き、そのポンプによって酸が外部へ放出されます。

このポンプの働きをしているものの1つが、「NHE-1(Na+/H+exchanger)」です。

 

つまり、

アミロライドが「NHE-1(Na+/H+exchanger)」の働きを抑止

⇒がん細胞内のアルカリ化を防ぐ

⇒がん細胞を弱めることができる

というイメージです。

 

しかし、アミロライドはまだ治療薬としては認められていないようです。。
今後の展望に期待したいですね。

 

 

アミロライドに期待されるその他の効果

 

利尿作用

「アミロライド」には利尿作用があると言われています。
(腎上皮ナトリウムイオンチャネルを阻害するため)

※なお、利尿薬としてまだ日本では認可がされてないようです。

 

白血病治療薬

前述した通り、「アミロライド」は、細胞内のpHを維持する働きのある
NHE-1(Na+/H+exchanger)」を抑止することができます。

 血液のがんと言われる白血病のがん細胞も正常な細胞と比べてpHが高いため、
がん細胞の働きを弱めることと同様の効果が期待できると考えられているようです。

 

また、「アミロライド」と類似しているDMA、EIPA、HMA(下記)
も白血病の治療のために研究されています。

 

酸による痛みを軽減

酸によって引き起こされた痛みは、
臨床実験で「アミロライド」によって軽減されることが報告されています。

将来、痛みの治療に対して「アミロライド」が利用されるかもしれませんね!

 

 

このように、「アミロライド」は
ただ塩味や酸味を抑制することができるだけではなく、
がん治療薬、白血病治療薬、酸暴露による痛みを軽減するなど、
様々な効果が期待されて、将来性が非常に高い物質だと思います!

みなさんも「アミロライド」を使って新しい可能性・ビジネスを考えてみてはいかがでしょうか。

 

以上、今日は「アミロライド」のお話でした!

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本日のまとめ
・塩は、「甘味」、「うま味」、「酸味」、「苦味」すべてと相性の良いオールマイティーくん!
・塩味抑制物質の「アミロライド」の可能性は無限大!

・今日は悲しくて全然おもしろいことが書けませんでした。。
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