味覚イベントや講習会をしていると、「閾値」という言葉をちょくちょく使います。
「閾値」って、何て読むか分かりますか?
「閾値」には「検知閾値」と「認知閾値」がありますが、どんな意味なのでしょうか?
実は、「閾値」を知らないと、隠し味を入れた美味しい料理を作るのは難しいのです!
今日は、ど真面目な内容で大変恐縮ですが、「閾値」についてご説明します!
「閾値」の読み方
「閾値」には、2つの読み方があります。
1.いきち
主に生理学、心理学分野では、「いきち」と読みます。
味覚の分野は、生理学に含まれるので、私たちも一般的に「いきち」と読みます。
正式な読み方としても「いきち」が正解のようです。
(「域値」と書くこともあるようです)
2.しきいち
主に工学分野では「しきいち」と読むことが多いようです。
なので、「閾値」という漢字を見せて「なんて読むでしょう?」と聞いたときに
・いきち ⇒「医学」「薬学」「農学」分野の人
・しきいち ⇒「工学」分野の人
・とうち ⇒「キレイだね、君は」と言う人(倒置法が好きな人)
・せんとうりょく⇒ドラゴンボール好きな人
と、だいたい分けることができます(笑)。
おまけ;関西人の見分け方
関西出身の人は、
・関西弁を隠すつもりがない(ほとんどのパターンがこれです)
もしくは
・関西弁を隠しきれていない(言葉の節々が関西弁になってる)
ので、話し方を聞けば9割は分かります。
しかし、ごく稀に、
・関西出身なのに、完全な標準語を習得
・関西出身じゃないのに、なぜかコテコテの関西弁
の人がいます。
そんな「この人、関西人かどうか迷うなー」という状況になった時には、次の漢字の読み方を聞いてみましょう。
1.「十三」
この漢字に読み方について
・じゅうさん ⇒ 一般人
・じゅうそう ⇒ 関西人
となります。
十三(じゅうそう)は、大阪市にある地名で、阪急電車の神戸線、宝塚線、京都線を結ぶ主要駅であり、関西にいる人なら誰もが聞いたことのある地名です。関西人であれば「十三」と書いて「じゅうさん」と読むことより「じゅうそう」と読むことのほうが圧倒的に多いでしょう。
2.「放出」
この漢字の読み方について
・ほうしゅつ ⇒ 一般人
・はなてん ⇒ 関西人
・中古車センター ⇒ コテコテの関西人
となります。
放出(はなてん)は、大阪市にある地名です。「はなてん、中古車センター♪」のCMは30歳以上の関西人なら誰もが聞いたことあるでしょう。コテコテの関西人は「放出」と書いて「中古車センター」と読む人も多いようです笑。
以上のように、漢字の読み方によって、どんな人か分かるなんて素敵ですね!(関西人かどうかは、直接聞いたらいいじゃん、というツッコミをしてはいけません)
「閾値」ってどんな意味?
余談が多くなってすみません・・・
「閾値」は、辞書的には
「閾値」とは、反応を起こすのに必要な、最小の刺激の強さ
と書いてあります。
ちょっと、よく分からないですね・・・。
詳しくご説明します!
「検知閾値」
「検知閾値」とは、何か分からないけど、何か違いがあると感じられる最小濃度
を言います。
例えば、0.01%のすごく薄い食塩水は「水と同じ」ように感じる方が多いと思いますが、少しずつ塩濃度を高くすると、「なんか水と違う」と、違いが分かってくるはずです。その、違いが分かるギリギリの濃度を「検知閾値」と言います。
「認知閾値」
「認知閾値」とは、どんな違いなのかを感じられる最小濃度
を言います。
例えば、0.03%くらいの塩水を目隠しで飲んで「水と違うことは分かるけど、どんな味か分からない」と感じたとして、更に塩濃度を高くしていくと、「わかった!これは塩の味だ!」と分かる濃度があります。この濃度を「認知閾値」といいます。
つまり、「検知閾値」よりも「認知閾値」のほうが高くなります!
「閾値」と「隠し味」
「閾値」は、上記の例の「水」と「塩水」のような単純な系じゃなくても、カレーなどの料理などにも適応できます。
例えば「カレー」に、隠し味として「醤油」を入れたとします。
・「醤油」を、ほんのちょっとしか入れなかったら、違いが分かりません。
・ある程度の量の「醤油」を入れると、「なんか違う!」と違いが分かります。
⇒これは「検知閾値」ですね。
・かなり多くの「醤油」を入れると、「醤油の味がする!」となります。
⇒これは「認知閾値」です。
「隠し味」を入れるからには、味の違いが分からないと意味がありません。つまり、「検知閾値」以上の量を入れる必要があります。
しかし、「隠し味」と言うからには、味は隠れているべきですので、「認知閾値」以上の量を入れてはいけません。
要するに、「隠し味」の適切な量は「検知閾値と認知閾値の間」ということになります。
「検知閾値」や「認知閾値」は、個人差が大きいです。味覚が良い人ほど、「検知閾値」や「認知閾値」は低いです。誰かのために料理を作るとしても、食べる人の味覚の良さ(閾値の低さ)を知らないと、本当においしいものを提供するのは難しいのです。
こう考えると、「味覚を知る」ことは、とても大事ですよね(笑)。ぜひ、味覚診断/味覚検定チョコや味覚体験イベントで、自分の味覚を調べてみましょう!
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本日のまとめ
・「検知閾値」とは、何かの違いがあると感じられる最小濃度
・「認知閾値」とは、どんな違いなのかを感じられる最小濃度
・関西人は「十二」⇒「じゅうに」なのに「十三」⇒「じゅうそう」
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