現在は辛いが人気で、第4次激辛ブームと呼ばれています。

「辛い」という感覚は個人差があると思いますが、
一般的に「辛い」とはどのくらいの強さのを指すか、知っていますか?

また、そもそも辛さの指標(単位)にはどのようなものがあるのでしょうか。
「スコヴィル値」という言葉を聞いたことがある方もいるかもしれませんね!

今回は、辛さの指標/単位について、スコヴィル値とカプサイシン濃度の関係を考察します。

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辛さの指標1:カプサイシン濃度

 

辛さの指標には、どのようなものが考えられるのでしょうか?

 

これは、もちろん辛さの種類によるのですが、

※参考記事:辛味の基礎知識~「ホット系」唐辛子と「シャープ系」ワサビの違いは?~

 

 

一般的に「激辛」と呼ばれるものは、とうがらしの辛味「カプサイシン」が含まれています。

 

そのため、カプサイシンの量(濃度)が辛味の強さと言ってよいと考えられます。

 

 

辛さの指標2:スコヴィル値

 

辛さの度合いを考えるには、カプサイシン濃度を考えるのが一番理にかなっていると思いますが、

実は、現在最も一般的に用いられている辛さの指標は、
カプサイシン濃度ではなく「スコヴィル値」です。

 

スコヴィル値とは、

トウガラシのエキスの溶解物を、辛味を感じなくなるまで砂糖水に溶かしたときの倍率

 

を示したもの、と言われています。

 

1912年にアメリカのスコヴィルさんが開発したと言われるこの測定方法ですが、

現在は、実際にはこのような測定方法はほとんど実施しておらず、
カプサイシン量を測定し、カプサイシン量をもとにスコヴィル値を推計しています。

 

 

え、結局カプサイシン量を測っているの?だったらスコヴィル値っていらなくない?

 

本当にそう思うのですが、昔から広く認知された方法や単位というものはなかなか変えられないということなのでしょうね。

 

 

カプサイシン濃度とスコヴィル値の関係は?

 

現在のスコヴィル値の測定方法として、
カプサイシン濃度からスコヴィル値を推計しているわけなので、

両者にはなんらかの関係式が存在していると思われます。

 

ただ、この関係式は公開されていないため、公開されているデータを基に推計してみたいと思います。

 

農林水産省HPによると、

カプサイシン濃度とスコヴィル値について以下のような例が記載してあります。

※参照:カプサイシンに関する詳細情報:農林水産省 (maff.go.jp)

 

 

この表ではなにやら数値に幅があってわかりにくいですが、
最小値と最大値をプロットした散布図を作成し、近似直線を引いてみました。

 

 

x=カプサイシン濃度、y=スコヴィル値とすると、

y=17.375x+1180.9

 

という関係が成り立つことが分かります!!

 

 

この式を用いれば、

「スコヴィル値は公表されているけどカプサイシン濃度がよくわかっていなかったもの」の

カプサイシン濃度を推計することができるようになります。

 

例えば、激辛のとうがらしには「キャロライナリーパー」、「ドラゴン・ブレス・チリ」、「ペッパーX」といった種類があり、

例えばキャロライナリーパーのスコヴィル値は200万を超えるものがあると言われています。

 

スコヴィル値が200万の場合、上記の関係式(y=17.375x+1180.9)に代入すると、

カプサイシン濃度は約115,000(mg/kg)と推計できます。

 

 

 

いまいちピンとこないけど一般的にはどのくらいの値で辛いっていうの?

 

カプサイシン濃度の数字を出したところで、それが辛いのかどうかよくわからないですよね。

一般的に、どのくらいの数値だと「辛い」というのでしょうか?

 

国際機関での品質規格(コーデックス委員会のチリペッパーの品質規格)は、
一般的な辛さの度合いとして以下を示しています。

 

なんと!ここでは、カプサイシン濃度とスコヴィル値の関係を、単純に15倍と換算しています。

先ほどがんばって計算した式(y=17.375x+1180.9)では、
ざっくりいうとスコヴィル値はカプサイシン濃度の17倍(より多い)という感じだったので、
まぁ似たような値と言えるでしょう。

 

15倍として換算している上記の表と合わせて考えてみると、
スコヴィル値はカプサイシン濃度の15~20倍、と言えるのではないかと思います。

 

 

 

さて話を「一般的な辛さ」に戻しましょう。

 

代表的な食品を一般的な辛さと照らし合わせると以下のように言うことができます!

タバスコソース・・・マイルド~中程度の辛さ
(スコヴィル値:1600~5000)

チリパウダー・・・・辛い
(スコヴィル値:30000~50000)

鷹の爪・・・・・・・辛い
(スコヴィル値:40000~50000と言われる)

ハバネロ・・・・・・非常に辛い
(スコヴィル値:約300000と言われる)

 

辛いものが苦手な方は、タバスコソースって十分辛いでしょ!って思うかもしれませんが、
タバスコソースはマイルド~中程度の辛味、という表現が一般的なのですね!

個人的な感覚としてはぴったり合っているように思います!

ハバネロはやっぱり「非常に辛い」になりますが、
それ以下のものは「辛い」にとどまるわけですね。

 

もちろん、辛いという感覚は個人によるものですし、
この規格の度合いをみなさんの感覚に押し付けるわけではありませんが、、

一般的な例としてご参考にしていただければと思います。

 

 

以上!今日は辛味の指標(単位)と一般的な辛さの度合いに関するお話でした!

 

次回の辛味に関する記事では、
激辛料理(カプサイシン)の安全性について考察したいと思います。お楽しみに!

 

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本日のまとめ
・辛味の指標(単位)にはスコヴィル値とカプサイシン濃度がある。
・スコヴィル値は、カプサイシン濃度(mg/kg)の15倍~20倍の値と推計される。

・タバスコは辛くない。
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