2024年2月現在、味覚の基本味は①甘味、②塩味、③酸味、④苦味、⑤うま味、の5つです。
この5つの味は「基本五味」と言われています。
とはいえ
「辛味や渋味もあるし、味は5つだけではないよね?」
と感じる方も多いのではないでしょうか?
今日は、基本味の定義に関するお話です。
これを読めば、なぜ「基本五味」と言われているのか分かりますよ!
現在は、
・甘味
・塩味
・酸味
・苦味
・うま味
の5つが「基本味」として世界中で受け入れられています。
では、なぜこの5つの味が「基本味」と言われているのでしょうか?
基本味の定義
「基本味の定義」に関しては、様々な文献で提唱されています。
文献によっては、基本味の定義として5~6個ほどの要件が記載されておりますが、様々な文献に記載されている定義をシンプルに示すと、以下の2点が重要ポイントと考えます。
①味蕾の味細胞に受容体があること
②他の味を混ぜ合わせて作れない独立した(互いに明確に区別できる)味であること
上記2点を満たす味が「基本味」と言えます。
基本味ではない味(例)
1.辛味
辛味は、「②他の味を混ぜ合わせて作れない独立した(互いに明確に区別できる)味であること」は満たしているように感じますが、「①味蕾の味細胞に受容体があること」を満たしていません。
辛味は、味細胞を介さずに味蕾近傍の神経に作用する痛覚に近い感覚と考えられています。
2.カルシウム味
カルシウムは、味蕾にある受容体のCaSR(カルシウム感受性受容体;Calcium Sensing Receptor)に受容されるので、要件①は満たしていると考えられます。
しかし、要件②は満たしておらず、カルシウム味は他の味と明確に区別できる味とは考えられていません。
よって、カルシウム味は基本味の一つとは見なされていません。
3.コク味
「コク」とは、濃厚感(あつみ)、広がり、持続性がある時に感じられる味わいで、味、香り、風味、食感などの要素が複合的に重なって生じる味わいであると考えられています。
(参照記事:コクとは?~コク味物質「グルタチオン」と「グルタミルバリルグリシン」~)
コク味も、コク味物質である「グルタチオン」や「グルタミルバリルグリシン」がCaSRと反応することが報告されており、要件①は満たしていると考えられます。
しかし、コク味物質単体では味がしなく、要件②については明確に満たしているとは言えないため、基本味の一つとは考えれていません。
4.脂肪味
脂肪味に関しても、脂肪を構成する脂肪酸が味蕾にある受容体(GPR120など)に受容されることが報告されているため、要件①は満たしていると考えられます。
しかし、要件②を満たしているかどうかの厳密な判断ができていないため、現時点で基本味の一つとは考えられておりません。
具体的には、「脂肪の味は、甘味、うま味、コク味、香り、食感などの要素を組み合わせれば再現できるのでは?」という問いに、明確に答えられない、ということです。
「ある味について、他の味と明確に区別できるかどうか」は、ある意味、脳科学的な話にもなりますし、また哲学的な話にもなってくる気もします。
個人的には、脂肪味は、将来的に基本味に追加される「第6の味覚」の最有力候補だと思っています。
以上、本日は「基本味の定義」についてシンプルにご説明させていただきました!
2024年現在は「基本五味」ですが、100年後には「基本〇味」になっているのでしょうか?
楽しみですね!
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本日のまとめ
関連記事:味の分類~5つの基本味「五味」~
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