みなさん、焼き芋は好きですか?
現在は第4次焼き芋ブームと言われるように、とても多くの方に好まれているように思います。
今や秋だけの食べ物ではなく、スーパーでは年中「焼き芋台」が常設してあったりしますよね。
そんな大人気の焼き芋ですが、
なぜサツマイモを焼くだけであんなに甘くなるのでしょうか?
今日は、焼き芋の甘さの理由について解説します!
焼き芋が甘い理由とは一体なんなのでしょうか?
ずばり、キーワードは「麦芽糖」です!!!
麦芽糖ってなに?
麦芽糖は、ブドウ糖が2つくっついてできた二糖類です。マルトースとも言います。
※ちなみに、ショ糖(砂糖)はブトウ糖と果糖がくっついてできた二糖類です。
※参考記事:砂糖やオリゴ糖は糖類?糖質?~「糖類」と「糖質」の違い~
なお麦芽糖の甘さは、ショ糖(砂糖)のおよそ3分の1程度と言われています。
サツマイモには麦芽糖が入っているの?
生のサツマイモに麦芽糖が入っているわけではありません。
サツマイモには、デンプンが多く存在しているのですが、
加熱をして「焼き芋」にすることにより、デンプンが麦芽糖へ変わるのです!
あれ、麦芽糖以外にもショ糖が入ってるの?
良いところに目を付けましたね!
上記の図を見てわかる通り、
焼き芋には、麦芽糖以外にも、ショ糖、(果糖、ブドウ糖)が含まれています。
(果糖やブドウ糖はほんのわずか)
「焼き芋の甘さの秘密」(片山健二)によると、
※出典:科学と教育(2019年)
焼き芋には、麦芽糖がショ糖の約3倍含まれている、とあります。
そして、焼き芋の甘さの秘密は、
麦芽糖とショ糖の甘さの相乗効果である!
と考察しています。
※相乗効果とは、同じ味を持つ食べ物を2種類合わせたときに、相互に味を強め合う現象を言います。
※参考記事:なぜスイカに塩をかけるの?~隠し味の秘訣「対比効果」「抑制効果」「相乗効果」「変調効果」~
麦芽糖って加熱したらできるものなの?
麦芽糖が焼き芋の甘さに重要な役割を担っているのはわかりましたが、
麦芽糖は、加熱さえすれば勝手に生成されるわけではありません。
麦芽糖が作られるには、次の2つの条件を満たす必要があります。
1.デンプンが糊化(こか)する。
2.βーアミラーゼが働く。
つまり、糊化したデンプンに、βーアミラーゼという酵素が働くことで、麦芽糖が生成されるのです!
しかし!
1のデンプン君は、寒いのが苦手で、およそ65℃以上にならないと糊化してくれません。
※デンプンが糊化した状態とは、炊きたてごはんのイメージ。
逆に、ごはんが冷めたときの状態を、デンプンの老化と言います。
2のβーアミラーゼ君は、逆に暑いのが苦手なので、およそ75℃以下でないとしっかりと働きません。
つまり、
65℃~75℃で加熱している状態のときにだけ、麦芽糖が生成される!
というわけです。
じゃあ、ゆっくり加熱すればおいしい焼き芋が出来上がるわけね!
甘味の観点で言えばその通りです。
例えば電子レンジで急速に加熱してしまうと、
65℃~75℃の状態の時間が短いため、麦芽糖が少ししか生成されません。
よって、甘くない焼き芋が出来上がってしまいます。
じゃあ、ゆ~っくり温度を上げて、
65℃~75℃くらいで保温すればよいか、というと、実はそうでもありません。
ゆっくり加熱すると、「甘味」の問題はOKなのですが、
「食感」に問題が生じてしまい、美味しくなくなってしまうのです!
おいしい焼き芋を作るには、
・甘味
・食感
・水分量
がポイントであると考えますが、、、
話がさらに長くなってしまうで今日はここまで!
おいしい焼き芋の作り方(理論上のお話)はまた次の機会に解説させていただきますね!
【追記】
以下の記事にておいしい焼き芋の条件について解説させていただいております!
以上!今回は、焼き芋が甘い理由に関するお話でした!
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本日のまとめ
・焼き芋の甘さの秘密は、麦芽糖とショ糖の相乗効果。
・麦芽糖の生成には、デンプンの糊化とβーアミラーゼの働きが必要。
・バクガトウの記事を読んでくれてアリガトウ。
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