焼き芋がおいしい季節になりましたね!

先日の記事では、焼き芋が甘い理由を解説させていただきましたが、

参考記事:焼き芋はなぜ甘い?~甘さの理由と麦芽糖生成のメカニズム~

実は甘いだけでは「おいしい」焼き芋とは言い切れません!

 

今回は、焼き芋をおいしく感じるためのもう一つの条件「食感」について、
「ペクチン」をキーワードとして解説させていただきます!

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みかくん「僕たち久しぶりに登場した気がするよ」

ミカさん「私たちはいらないという説が出ているしこの辺で存在感を示しておきたいところだわ」

みかくん「ということで、今日はリスナーからのお便りを紹介するyo!」

ミカさん「急にラジオのパーソナリティーみたいになってるわよ」

みかくん「えー、子供に愛情をたっぷり与えようと思い甘やかして育てていたら、ワガママで頑固になってしまいました」

ミカさん「味覚に関係ない話題だけど大丈夫かしら」

みかくん「なるほど、これは焼き芋と同じだね!」

ミカさん「どういうこと?全く意味がわからないわ」

みかくん「は?甘いだけじゃ固くなっちゃうって意味に決まってるでしょ!」

ミカさん「なんで逆ギレしてるのよ」

 

喧嘩がはじまりそうなのでこの辺でちゃんと解説したいと思います。。

 

 

焼き芋が甘い理由は?

焼き芋が甘くなる理由は、
一言でいうと「麦芽糖(マルトース)」が生成されるから!と言えます。

参考記事:焼き芋はなぜ甘い?~甘さの理由と麦芽糖生成のメカニズム~

 

デンプンが糊化し、また酵素(βアミラーゼ)が働いて麦芽糖が生成されるためには、
65℃~75℃の温度で加熱する必要があります。

 

 

しかし!

じゃあ、65℃まで加熱して、そのまま65℃で一定にしておくとおいしい焼き芋ができるかというと、そうではありません!

パッサパサでかたい焼き芋になってしまうのです!

 

その理由は「ペクチンの硬化」です。

 

 

ペクチンの硬化とは?

ペクチンとは、植物の細胞壁を作っている成分の一つです。

野菜の種類などにもよりますが、およそ50℃~70℃の温度でゆっくり加熱すると、かたくなってしまう(ペクチンの硬化)という効果があります。

※逆に80℃以上で加熱すると、やわらかくなる(軟化する)という効果があります。
※一度硬化してしまうと、軟化しないと言われています。

 

【参考】
「煮物は水から煮る」と良い、とされるのは、低温でゆっくり加熱しペクチンの硬化を促すことで、煮崩れを防ぐためです。

 

 

サツマイモについても、低温でゆっくり加熱をしてしまうと、ペクチンの硬化が起きてしまいます。

そのため、麦芽糖は生成されたとしても、食感が固くなってしまい、「おいしい」とは言えない焼き芋になってしまうのです。

 

 

じゃあ、どうすればおいしい焼き芋になるの?

理想的な案としては、

ペクチンの硬化は起きないけど、麦芽糖が生成されるギリギリの温度(75℃付近)で加熱し、
麦芽糖が十分に生成された後で、
80℃以上の温度にあげ軟化を促し、ほどよいネッチョリ感を演出する、という方法です。

 

80℃以上に上げてからどの程度加熱する(やわらかくする)とおいしく感じるかは、
個人差によるところが大きいので、お好みで調整すると良いかと思います。

 

また、(80℃以上での)加熱時間を長くすることで、
「水分量」が減り、相対的に甘味が増すことにもつながります。

 

より甘い焼き芋が好みであれば、高温での加熱時間を長くした方がよいと考えられます。

 

 

しかし!!!

現実的に考えると、「75℃付近の一定温度で加熱する」というのが、なかなか難しいです。

加熱器具の表示温度とイモの内部温度は異なりますし、
少し温度が低くなってしまうとペクチンの硬化が起きてしまうので、
結構リスキーなやり方と言えます。

 

そこで!

(専門的な焼き芋屋を運営している方は上記の理想案を目指すべきと思いますが)
ご家庭で作る方などは、現実的な案として、
以下のような温度推移を目指すと良いのではないかと考えます。

 

麦芽糖を完全に生成することは諦めることになりますが、
65℃~75℃付近は比較的ゆっくりと温度上昇させて、ある程度は麦芽糖を生成させた後、

ペクチンの硬化は絶対に起きないように80℃付近まで上昇させ、その温度を維持する方法、
となります。

 

先ほどの理想案と比べると麦芽糖の量は減るため甘味は少なくなりますが、
その後(80℃以上)の加熱時間を長くすることで、水分量は減らせるため、
そこで甘味を増すことは可能になります。

 

こちらの方法の方が、ペクチンの硬化は起きにくいため、「失敗」はしない方法だと言えます。

また、2段階で加熱・保温をする必要がないので、
調理しやすさという観点からも現実的な方法と言えるのではないでしょうか。

 

 

 

以上!今日はおいしい焼き芋の条件を考察してみました!

 

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本日のまとめ
・おいしい焼き芋の条件は「甘味」のほかに「食感」も重要。
・「ペクチンの硬化」を起こさないように加熱するとかたくならない。

・焼き芋も甘やかすだけでは頑固になっちゃいます。
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