みなさんは、肉と魚どちらが好きですか?
もし肉ばかり(or 魚ばかり)食べてると、どのくらい栄養バランスが偏ってしまうのでしょうか?
肉ばかり、魚ばかり食べない方が良いとはなんとなく感じますが、どのくらいのバランスで食べ分けるのが最適なのでしょうか?
今日は、肉と魚の脂の成分(脂肪酸の種類)を整理してみました!
これを読めば、脂の種類・栄養がよく分かります!そして脂肪酸バランスの観点から、肉と魚の適切なバランスについて参考になるかと思います!
・理想の脂質の摂取バランスとは?
日本人の食事摂取基準(2020年度版)によると、脂質に関する食事摂取基準は以下となります。
つまり、
・飽和脂肪酸の量はなるべく少なく
・n-6系脂肪酸とn-3系脂肪酸の割合は5:1くらい
・n-6系脂肪酸は10g/日、n-3系脂肪酸は2g/日くらい
ということが大事なようです!
・脂質とは?
私たちが摂取している脂質のほとんどが「トリアシルグリセロール」です。
「トリアシルグリセロール」とは、脂肪酸3つとグリセリン(グリセロール)がくっついたものです。
・脂肪酸とは?
脂肪酸は、炭化水素鎖(炭素(C)と水素(H)が繋がったもの)に、カルボキシル基(COOH)がついたものです。
(参照:必須アミノ酸、ペプチド、BCAAって何? ~アミノ酸の味・構造・効果~)
・炭化水素鎖の長さ
・二重結合の数
によって、いろんな種類の脂肪酸に分かれます。
最も単純な(炭化水素鎖が短い)脂肪酸は、お酢成分である「酢酸」です。
(参照:梅干しやレモン、すっぱい食べ物はなぜおいしい?~クエン酸の機能~)
・飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸とは?
不飽和脂肪酸は、二重結合があり、まだ水素がくっつけられる(水素が飽和していない)脂肪酸です。
飽和脂肪酸は、二重結合がなく、もう水素がくっつけられない(水素が飽和している)脂肪酸です。
飽和脂肪酸が多い ⇒ 融点が高い ⇒常温で固体
不飽和脂肪酸が多い⇒ 融点が低い ⇒常温で液体
一般的に「油」と言われているものは液体ですよね。これは、不飽和脂肪酸が多い(二重結合が多い)からです。
反対に、「脂」と言われるもの(豚の脂;ラードなど)は、常温で固体ですよね。これは、飽和脂肪酸が多い(二重結合が少ない)からです。
(参照:バターとマーガリンの違いとおいしさの秘密~トランス脂肪酸って何?~)
・n-6系(オメガ6)脂肪酸、n-3系(オメガ3)脂肪酸とは?
ざっくり言うと、
炭化水素鎖の末端から6番目が初めての二重結合
⇒n-6系脂肪酸
炭化水素鎖の末端から3番目が初めての二重結合
⇒n-3系脂肪酸
となります。
なお、
n-6系脂肪酸のことを、ω6(オメガ6)脂肪酸
n-3系脂肪酸のことを、ω3(オメガ3)脂肪酸
とも呼びます。
(参照:エゴマ油と亜麻仁油は食べる必要ない?~オメガ3(n-3系)脂肪酸の摂取基準と平均摂取量から考える~)
n-6系(オメガ6)脂肪酸とn-3系(オメガ3)脂肪酸は必須脂肪酸であり、食事から摂取する必要があります!
n-6系(オメガ6)脂肪酸:リノール酸、アラキドン酸など
n-3系(オメガ3)脂肪酸:α-リノレン酸、イコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)など
・肉の脂質に含まれる脂肪酸の割合
牛、豚、鶏の、脂質中の脂肪酸割合について調査してみました!
※牛の代表として和牛のデータを記載していますが、和牛も交雑牛も、脂肪酸の割合は大きく変わりません。
(交雑牛については、”和牛と国産牛の違い、知ってますか?~実は「黒毛牛」と「黒毛和牛」は全然違う~” の記事をご参照ください。)
・肉の全脂質に対する飽和脂肪酸の割合
牛肉、豚肉、鶏肉すべて、目安量に対して飽和脂肪酸の割合が高いようです。
つまり、肉をたくさん食べると、飽和脂肪酸を摂りすぎてしまうリスクが高いと考えられます。
特に豚肉は飽和脂肪酸の割合が高いようですので(豚肉は美味しいので個人的に好きなのですが)豚肉をたくさん食べる時は、他の食材などを含めた食事全体での飽和脂肪酸バランスに注意が必要です。
※なお、目安量は、脂質のエネルギー比の目標値25%、飽和脂肪酸の目標値7%とした場合の計算値です。脂質のエネルギー比の目標値は20-30%、飽和脂肪酸は7%以下であることから、概ね7÷25=28%以下が望ましいと推察します。)
・肉のn-6系/n-3系脂肪酸バランス
牛肉、豚肉、鶏肉すべて、目安量に対して、n-3系脂肪酸に対するn-6系脂肪酸の割合が非常に高いです。
つまり、肉を食べすぎると、n-3系に対してn-6系脂肪酸を摂りすぎてしまうリスクが高くなると考えられます。
特に、牛肉はn-6系脂肪酸の割合が高いですので、牛肉をたくさん食べる時には、n-6系脂肪酸を摂りすぎないように注意しましょう。
・魚の脂質に含まれる脂肪酸の割合
マグロ、鮭、サンマ、甘エビの、脂質中の脂肪酸割合について調査してみました!
・魚の全脂質に対する飽和脂肪酸の割合
マグロ、鮭、サンマ、甘エビすべて、目安量に対して飽和脂肪酸の割合が低いようです。
つまり、魚をたくさん食べても、飽和脂肪酸を摂りすぎてしまうリスクは肉よりも低いと考えられます。
特に甘エビは飽和脂肪酸の割合が低いですね。
※なお、目安量は、脂質のエネルギー比の目標値25%、飽和脂肪酸の目標値7%とした場合の計算値です。脂質のエネルギー比の目標値は20-30%、飽和脂肪酸は7%以下であることから、概ね7÷25=28%以下が望ましいと推察します。)
・魚のn-6系/n-3系脂肪酸バランス
マグロ、鮭、サンマ、甘エビすべて、目安量に対して、n-3系脂肪酸に対するn-6系脂肪酸の割合が非常に低いです。
つまり、魚を食べすぎると、n-6系に対してn-3脂肪酸を摂りすぎてしまうリスクが高くなると考えられます。
肉と逆の結果ですね!
・肉と魚のn-6系/n-3系脂肪酸バランス
・肉は、n-6系がn-3系よりも多すぎる
・魚は、n-3系がn-6系よりも多すぎる
ということです!
・肉と魚の適切なバランスとは?
n-6系/n-3系脂肪酸から考える、肉と魚の適切なバランスは
肉7:魚3
となります!
つまり、脂肪酸の観点からは、
肉を70g、魚を30g食べるくらいのバランスが良いということですね!!
以上、今日は肉と魚の脂の成分(脂肪酸の種類)に関するお話でした!
「肉と魚って、どんばバランスで食べればよいんだろう?」と思ってる方、この脂肪酸バランスの観点から、自分が食べる量(バランス)を考えてみても面白いと思います。
ぜひご参考いただけると嬉しいです!
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本日のまとめ
・肉はn-6系(オメガ6)、魚はn-3系(オメガ3)脂肪酸が多い
・肉は飽和脂肪酸が多く、魚は飽和脂肪酸が少ない
・脂肪酸バランスの観点からは、肉7:魚3のバランスがオススメ!
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