前回の記事では、「食品」と「食品添加物」のについてクイズ形式でお伝えしましたが、
「食品添加物って食べると危険じゃないの?」と考えている人も多いかと思います。

今日は、食品添加物の安全性に関する、個人的な意見を書きたいと思います!
(あくまで一意見ですので、「こんな考えの人もいるんだー」と参考にする程度で流し読みして頂ければと思います!)

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私の友人(文系)に、食品添加物に関する疑問をヒアリングしてみました。
友人(文系)は、やはり、食品添加物についてよく分かっていないようです。

 

Q1:食品添加物って、科学者が実験室で試薬を混ぜて作ってるんじゃないの?

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こんなイメージを持ってる方もいるかと思いますが・・・

 

結論を言うと、そんなことはありません。

多くの食品添加物は、天然物を抽出して得られたものか、醤油、砂糖などと同様の工程で作られているものです。

 

前回の記事にも書きましたが、
食品添加物は「作り方」によって規定されているものではなく、「用途」および「伝統があるか」によって規定されているものです。
(トマトジュースや寒天も、用途によっては食品添加物扱いになるわけです)

 

「作り方」に関して補足すると、
例えば、砂糖を作るためには、サトウキビから砂糖の成分(スクロース)を精製する工程があります。
つまり、「精製」の工程は、問題ないと考えらえます。

また、醤油や、納豆などの発酵食品は、「発酵」の工程があります。
つまり、「発酵」の工程も、問題ないと考えられます。

そして、グルタミン酸ナトリウム(うまみ調味料)は、サトウキビを原料として微生物を利用して「発酵」させ、「精製」して作っています。「発酵」も「精製」も問題ないわけなので、製造工程としては問題ないと考えられますが、「食品添加物」扱いとなります。

というわけで、「作り方」に問題があるから「食品添加物」扱いになるわけではないのです。

 

 

 

Q2:安全性はどうやって調査してるの?

食品安全委員会にて、安全性に関する評価を行っています。

一般的には、マウスなどの動物を使って、たくさん(繰り返し)食べさせたり、アレルギーや遺伝子への影響を調査したり、体内での成分変化などを調査したりします。

マウスなどの動物に対して、影響を与えない量(毒性がない量)を調べた後、その量の100分の1を、1日当たりの許容摂取量(ADI;Acceptable Daily Intake)としています。

つまり・・・
「食品添加物」として認可されたものは、基本的に、マウスに与えても問題ない量の1%以下しか食べれないルールなので、まず大丈夫だと思われます。

 

 

Q3:イマイチよく分からないや、、何か具体例はないの?

例えば・・・
保存料としてよく使われている「ソルビン酸」について、
厚生労働省の調査によると、日本人の平均摂取量は、ADI(許容摂取量)の0.36%だけです。

これは定期預金の金利と同じくらい。ほぼゼロ。誤差レベルです。
ADIから考えると、平均の100倍以上の量を食べても全然問題ないのです。食べようと思っても(ギャル曽根さんですら)そんなに食べれないと思われます。そして、その更に100倍食べても、マウスに悪影響がないのです。めちゃくちゃ安全なだと思います。

 

そして、ハムやソーセージなどによく使われている亜硝酸(亜硝酸ナトリウムなど)は、毛嫌いしている人も多いのですが、そもそも体内でも作られるし、ホウレン草などの野菜にも含まれています。

亜硝酸塩のうち、食品添加物として摂取しているものは、全体の2%程度しかありません。これも誤差レベルです。本当に亜硝酸塩を摂取したくないのであれば、野菜を食べないほうが良いと思われます。

 

 

Q4:食品安全委員会って国のやつでしょ?国が決める基準が、そもそも信用できないのだけど?

まあ、それを言われるとどうしよもないのですが・・・

国がやることについて信用できない気持ちも分かります。いろんな不祥事も多いですし。

ただ、食品安全委員会で議論している人たちは、食の安全性に関するプロ集団です。
私は、十分信頼できると思っています。

信用できない」と言う人は、「食品安全委員(大学教授クラスのプロの専門家)は、バカもしくは利己的だから信用できない」と言っているのと同じことでもあります。

 

 

Q5:でも、ネットとか雑誌には、「食品添加物は危険だ!」って意見が多いよね?

私に言わせれば、ネットとか雑誌で「食品添加物は危険だ」と意見を書いている人は素人です。
中には文献からデータを引用している記事もありますが、「危険だ」と示すデータは容易に作ることができます。
(参照:水ですら、危険な物質だと思わせることは容易です

私も、恣意的にデータを作ろうとすれば(妥当な結論かどうかを無視すれば)、例えば「酸素を吸引すると危険」とか、「りんごを食べ過ぎると危険」とか、強引にロジックを組んでデータを作ることも可能です。

 

一つのデータを見て結論づけることは、正直、誰でも簡単にできます。
難しいのは(時間がかかるのは)、複数の文献などから、同様の実験データを精査して、「妥当な結論は何か」を、いろんな視点で考え、総合的に判断することです。当然、実験結果だけを見るのではなく、実験方法も確認して、再現性のあるデータかどうかも確認すべきです。

ネットや雑誌の素人の方は、一つのデータの結果や、自分に都合の良いデータしか採用してないことが多いです。
食品安全委員のプロの方は、当然、複数のデータを精査し、いろんな実験結果を踏まえて(再現性があるかどうかもチェックして)、最も妥当だと考えられる結論を出します。そこらへんのネット記事に書いてあるネガティブデータだって、知らないわけじゃなく、そのデータも踏まえたうえで、総合的に判断しているのです。

よって、プロの意見のほうが信用できると私は考えています。

 

 

Q6:じゃあ、なんでこんなに「食品添加物は危険だ」って言われることが多いの?

ざっくり以下の2つの理由が考えられます。

(1)食品添加物の実体がよく分からず不気味
(2)心理学的に「危険」というほうがウケが良い

冷静に考えて、得体の知れない、謎の物質は食べたくありません。
もし、原材料に「ピリドキシン塩酸塩」と書いてあったら、得体が知れないので食べちゃダメだと思うのは当然です。

しかし、実は、「ピリドキシン塩酸塩」はビタミンB6のことです。
もし、原材料に「ビタミンB6」って書いてあったら、聞いたことあるし、食べても大丈夫な気がします。

このように、食品添加物は「理解できないもの」「科学的なもの」のイメージが強いため、危険だと思われやすいのです。

 

また、心理学的にも、
「これは食べていいですよ、安全です」
という文章よりも
「これは食べちゃダメ、危険!!」
という文章の方が心に響きやすいです。

一般的に、世の中には保守的な考えの人が多いので、現状より悪化することを極度に恐れ、「~は危険!」と書いてあると読みたくなります。

つまり、「食品添加物は危険!」と書くと売れる(儲かる)のです。

「食品添加物は安全です」と書いても、あまり雑誌は売れないし、ネットの記事は読まれません。むしろ、「食品添加物は危険」だと信じている人から、いたずらに反感を買うだけで、メリットよりデメリットの方が大きいです。
(だから、正直、この記事もデメリットのが大きいと思われる。)

 

雑誌やネットの記事で「添加物は危険だ」と書いてる人は、「真実を伝えたい」という気持ちよりも、「雑誌をたくさん売りたい(儲けたい)」「ネットのアクセス数を増やしたい」という気持ちが強いのではないか(もしくは、単に勉強不足なだけ)と思われます。

たまに、「企業が金儲けのために危険な食品添加物を作ってる」みたいな論調の記事を見かけますが、私に言わせれば「あなたこそ金儲けのために適当な記事を書いているのでは?」と突っ込みたくなります。

 

 

Q7:あなたは食品添加物推進派のようだけど、、、もし同じ食べ物で、食品添加物が入っているものと、入ってないものがあったらどっちを選ぶの?

もちろん、食品添加物が入っていないものを選びます(笑)

食品の専門家である私ですら、食品添加物には危険なイメージがあるわけです。
世間のイメージに影響を受けているのです。だから、多くの方が、食品添加物に対して良くないイメージがあっても当然だと思います。刷り込まれたイメージは怖い・・・

 

ただ、冷静に考えると、「食品添加物」より、「食品」のほうが危険性が高い可能性もあるのでは?と思います!

「食品添加物」として認可されるためには、食品安全委員会での厳しい検査をクリアしなければならないのですが、塩、砂糖、醤油などの「食品」は、伝統的に食べられているという理由だけで、厳しい検査をしているわけではありません。

もし「塩」や「砂糖」が伝統的に食べられていなかったとして、「食品添加物」として認可されたとしても、ADI(許容摂取量)はマウスで安全な量の100分の1しか認められないので、今、私たちが食べている量よりも、はるかに少なくなるでしょう。だから、砂糖の多いコーラや、塩分の多い醤油などは、基準オーバーになり、作れなくなってる可能性が高いです。

 

 

Q8:日本で認可されてる食品添加物は、100%安全って言えるの?

もちろん、100%安全だとは言えません。そもそも100%安全なものは、世の中にはないですし、食品のように口に入れる物は特に、リスクは高いと思います(新しい食べ物について、どんなものでも「十数年後にガンを引き起こす可能性がある」ということを100%否定するのは困難)。

ただ、大事なのは、バランスです!

一般的な食品の「醤油」や「ソース」だって、ビールと間違えて大量に一気飲みすると、すごく危険です!

 

 

安全性について他の物に例えて考えてみると・・・

私は、「食品添加物」は食品分野における進歩の成果だと思っているので、工業分野における進歩の成果である「スマホ」で例えてみましょう。

 

「スマホ」は、100年前にはなかったです。「スマホ」を使うことにより、何かしら(これまでなかった)電磁波が出て、その電磁波が体に影響を与えて、ガンなどを引き起こしたり、またブルーライトみたいな得体の知れない何かが、目に悪影響を与える可能性も考えられます。

こう言われると、「スマホ」は危険のような気もします。将来的にどんな危険性があるのかどうか、よく分かりません。歴史も浅いので、リスクがないとは言い切れないでしょう。

ただ、メーカーや国を代表した専門家が考えて、安全性は問題ないと判断されているので、私は信用しています。私は電子機器に対して専門外ですし、自分で安全性の調査結果や様々な文献を調査したわけではないのですが、信用しているのです。

私は、自分で全く調べていない「スマホ」も安全だと思ってるくらいなので、かなり調べている「食品添加物」については、自信をもって安全だと考えています(でも、100%だとは言い切れませんが)。
「ただの楽観主義者なのでは?」と言われたら否定はできません笑。

 

まあでも、「スマホ」は、いきなり発火するやつもあるし、まあまあ危険とも言えますね笑。

メーカーが「安全だ」と言っても発火するスマホのように、危険なやつもちょこちょこあるので、消費者は不安になるのだと思います。同様に、食品添加物を不安に思う人も、ある意味、当然とも思います。私は別に、食品添加物を危険だと思っている人を否定するわけではなく、リスクを極力低くしようと考えてる、努力家なのだと思います。

 

ただ、今の時代、スマホや携帯電話を使わずに生きることが難しいのと同様、食品添加物を摂取せずに生きるのはとても難しいですよね。ナチュラル志向で生きようとすればするほど、エンゲル係数は高くなってしまいます。このバランスも難しいですね・・・。

 

 

Q9:日本では認可されてても他の国では認可されてない食品添加物もあるけど、安全なの?

一応、日本で認可されているということは、安全なはずです。
ただ、他の国で認可されていないということは、何かしら理由があるはずなので、どこの国でもOKなものと比べると、リスクレベルは高いと思います。

着色料の「赤色2号」や「赤色3号」は、アメリカでは禁止されてるようですね・・・。

「赤色3号」とか、ネーミングが可哀想・・・。人造人間19号みたいな、いかにも危険そうなイメージです。
イメージほど、危険なものではないと思いますよー

 

まあ、私は、日本で認可されているものは適量を食べる分であれば問題ないと考えているので気にせず食べますが、気になる方は、「食品添加物」すべてを危険視するのではなく、「海外で禁止されている食品添加物」だけを食べないようにする、というだけでも充分すぎると思います。

 

 

 

Q10:私は誰よりもに気を遣ってて、毎日、健康のために炭酸水を飲んでる。食品添加物は健康に悪そうだから、一切口にしたくない。悪い?何か文句ある?

個人の考えの自由なので、全く悪くないです。信仰の自由と同じです。何も文句はありません。

ただ、一つだけ言わせていただくと、炭酸水には食品添加物が入ってます(炭酸ガスは食品添加物)。

 

栄養補助食品としてサプリメントを摂取されている方もいるかと思いますが、サプリメントは食品添加物が多いです。
「健康のために食品添加物を摂らないようにしている」というと、ツッコまれた時に無知をさらけ出すことになるので注意しましょう。
(そもそも、「食品」の方が「食品添加物」よりも危険である可能性も高いわけですし)

 

 

すいません、すごく長文になってしまいました・・・。
私はよく「話が長い」と言われるので直さないといけないのですが。気を付けます!

 

健康に過ごすためには、添加物うんぬんよりも
・偏食せず、栄養バランスの良い食事を心がける
を良くして、塩分や糖分を多く摂り過ぎない(薄味に慣れる)

ことが大事だと思います!

 

最近、めっきり寒くなってきましたが、みなさん風邪をひかないようお気をつけください!

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本日のまとめ

・「食品添加物」として認可されていれば、安全だと思います
・「食品添加物」の使用基準は、マウスで影響がない量の1%
・添加物の有無よりも、バランスが大切です!
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参照:「食品添加物のほんとうの話」三輪操(相模女子大学栄養科学部栄養学科教授)著

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