ビールの市販品に、よく「コク」「キレ」の表記を見かけます。
でも、「コクとかキレとか、正直何なのかよく分からないよ」と感じてる方も多いのではないでしょうか。
今日は、「コク」と「キレ」について、なるべく分かりやすくイメージ図を活用してご説明します!
テレビで芸能人がご飯を食べてる時、「この料理はコクがあるのにキレもあって美味しい!」というと、なんか、食レポが上手な人っぽい感じがしますよね。
※食レポが上手になりたい方は「味覚を良くする方法を考える(その②)~味の表現法12のコツ「食レポの極意」~」参照
でも、どんな時に「コクがある」「キレがある」って使えばいいのか正直よく分からないよ!という方も多いかと思います。今日の記事を読めば、これから堂々と「コク」「キレ」を扱えるように、なりますよ!
「コク」とは?
「コクがある」「コクがない」って、一体、どんな違いのことでしょうか?
そんなの簡単じゃん、こんな感じでしょ?
違います。
ヒゲが濃い人が「コク」があるわけではありませんし、コクがないのは「濃くない」ことではありません。
(感覚としては、あながち間違いとも言えませんが・・・)
「コク」とは、
・濃厚感(あつみ)
・持続性
・広がり
がある時に感じられる味わいで、
・味
・香り、風味
・食感
など、いろんな要素が複合的に重なって生じる味わいであると考えられています。
また最近では「グルタチオン」「グルタミルバリルグリシン」などの「コク味物質」も報告されています。
※「コク」についての詳細はコクとは?~コク味物質「グルタチオン」と「グルタミルバリルグリシン」~をご参照ください!
以上です!分かりましたか?
正直、この説明だけじゃ、いまいちよく分からないですよね・・・
というわけで、イメージしやすいように、
まず、「先味」「中味」「後味」について考えて、イメージ図を作ってみましょう!
「先味」「中味」「後味」って何?
みなさんも経験があると思いますが、食べ物によっては、
・食べた時に、すぐに味を感じるもの
・食べてから、ちょっと時間が経った後に味を感じるもの
があります。
この、「いつ味を感じるのか?」を説明するために、「先味」「中味」「後味」という概念があります。
<先味>
食べてから、すぐに感じる味です。
例・・・塩、レモン
塩をなめると、すぐにしょっぱく感じますね!
<中味>
食べて、ちょっとした後に感じる味です。
例・・・味噌汁のうま味、肉のうま味
ステーキなどの肉を食べた後、(味付けで塩を使ってた場合は)先に塩味を感じますが、ちょっと後に、肉のうま味を感じると思います。あんな感覚を、「中味にうま味を感じる」と言います。
<後味>
食べて、しばらく経ってからも感じる味です。
例・・・飴の甘味、ビーマンの苦味
飴を食べた後に、舌にずっと残るような、甘ったるい感じがします。あんな感覚を後味と言います。
※辛味も、食べてすぐに辛さを感じる「シャープ系」と、食べてしばらくしてから辛さを感じる「ホット系」があります(参照:辛味の基礎知識~「ホット系」唐辛子と「シャープ系」ワサビの違いは?~)
イメージにすると、下のような図になります!
「コクがある!」ということは、感覚的に説明すると、「中味、後味が強め!」ということです。
なおかつ、単一の味ではなく、複合的な味だと、「コクがある」と感じやすいと考えられています。
例えば、ただ、甘味だけで中後味が強いもの(飴など)では「コクが強い」とは感じません。
しかし、甘味やうま味、辛味などが複合的な要素があるもの(カレーなど)で、中後味が強いものだと「コクが強い」と感じやすい傾向があります。
(参照:味の分類~5つの基本味「五味」~)
このイメージを図にすると、下のようになります。
じゃあ、「先味タイプ」だとコクがなくて、「中味、後味タイプ」だとコクがあるってこと?
と考えたくなりますが、一概にそうとはいえません!
先味も強いけど、中後味も強い食べ物も、結構たくさんあります。
(例えば、塩味の先味が強いけど、うま味や苦味の中後味が強い料理など)
とりあえず言えるのは、いろんな味のする食べ物がありますが、
コクがあるものは、中後味が強い(上図のピンクエリアにある)ということです!
※上述のものは、あくまで分かりやすいようにするための感覚的な(結果論的な)説明です。すでにコク味物質も発見されているように、将来的には「コク」という言葉の定義や使い方も変わるかもしれませんね。
キレとは?
続いて、「キレ」についても考えてみましょう。
「キレがある」「キレがない」って、一体、どんな違いのことでしょうか?
上の図をイメージした方、間違いです。惜しいですね。
ここで言う「キレ」とは、キレやすい人、キレてない人のことを指しているわけではありません。
「キレがある」とは、一言でいうと、
・味がなくなるのが早い(短時間)
ということです!
キレについても、イメージ図を使って考えてみましょう!
キレがあるものは、食べてから、すっと、味が切れていきます。
反対に、「キレがない」とは、味の強弱がゆるやかなものを言います。
「コクがあってキレがある」とは?
コクがある
⇒中後味が強い
キレがある
⇒短時間で味の強弱がハッキリ
というわけなので、この両方を兼ね備えているものが、「コクがあって、キレがある」味となります!
キレがあるものは、コクがなくなってしまいがちなので、コクとキレの両立は難しいです。
でも、上の図で示すように、不可能ではありません。
食品メーカーの方や、料理人の方が工夫を重ねて、コクもキレもある食品、料理を考えていると思います!ありがとうございます!!
※今日ご説明した「コク」「キレ」は、
例えば、
「コクがある」とは、食べてから3秒後の味の強さが100以上ある
とか、
「キレがある」とは、味が最大となった2秒後の味の強さが10%以下まで落ちる
のように、客観的な、具体的な数値などの指標があるわけではありません。
あくまで、作り手の決めた基準で「コクがある」「キレがある」と言っています。
なので、「コクがある」「キレがある」という表示だけを頼りにするのではなく、自分で食べてみて「この食べ物はコクがあるな」とか「この飲み物はキレがあるな」と感じることが大事です!!
以上、コクとキレのお話でした!!
「今日の記事は、内容も濃くて、ギャグもキレがあったなー」と感じて頂けたら嬉しいです。
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本日のまとめ
・「コクがある」ものは、中後味が強い
・「キレがある」ものは、味が短時間でなくなる
・このブログの記事は、基本的にキレはない
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関連記事:「コクがある」のコクって何?コクの正体とは?~味の表現方法~
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