先日の記事
「 味覚を良くする方法を考える(その①)~ボンカレーとカリー屋カレーの違い、表現できますか?~」
では、「どうおいしいのか?」を考えて表現することが大事であることをお話しました。
今日は、具体的に
「食べた時の感想を言うコツ(グルメレポートのコツ)」「味の表現方法のコツ」
をお伝えします!
この記事を読めば、食レポの達人になれますよ!!
みなさん、ご飯やスイーツを食べた時、何て言いますか?
実は、食べた時の味の表現は、ざっくり以下の12の要素に分けられます。
この12のコツを覚えるだけで食レポが上手になります!!やったー!!
1.おいしさ
ある物を食べた時、「おいしい」か「まずい」かどうかは、1番重要なポイントです。
この「おいしさ」ワードは必ず使用しましょう。
<主な表現ワード>
・おいしい(うまい)
・まずい
・絶妙、絶品
・最高(最低)
・やばい
・くせになる味
・満足
・しあわせ
・言葉にできない美味しさ
・頬が落ちる
・つい食べ過ぎてしまう
・二度と食べることはない
<使用例>
おいしい場合
・「このラーメンはめちゃくちゃ美味しい」
・「クセになる味。つい食べ過ぎちゃう」
・「しあわせ♪」
まずい場合
・「このラーメン、びっくりするほどマズイ」
・「ある意味、衝撃的な味。自分の口には合わない」
・「もう二度と食べることはないでしょう」
2.温度
温度を感じるのは「味覚」ではなく「触覚」ですが、
熱い食べ物、冷たい食べ物を食べた時は、「熱い」「冷たい」を伝えることは基本となります。
<主な表現ワード>
・あったかい、熱い
・つめたい
・あつあつ
・頭がキーンってなる
<使用例>
・「この焼きイモ、あっつあつです」
・「このかき氷、頭がキーンってなるほど冷たくておいしい!」
3.五味
味覚の基本となる五味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)です。この基本味「五味」は、味蕾を構成する味細胞によって受容されます。
参照:味の分類~5つの基本味「五味」~
<主な表現ワード>
・甘い、甘味がある
・しょっぱい、塩味がある
・すっぱい、酸味がある
・苦い、苦味がある
・うまい、うま味がある
・あまずっぱい
・甘くて苦い
<使用例>
・「このチョコレート、甘いけど、ちょっと苦い」
・「すぱムーチョは、すっぱい」
4.辛み、渋み
「辛い」「渋い」も、広義では味覚の一つですが、味蕾で感じるわけではなく、厳密には触覚(痛覚)です。
とはいえ、味を表現するのに非常に重要な要素の1つです。
<主な表現ワード>
・辛い、辛味がある
・渋い、
<使用例>
・「カレーは辛い」
・「渋井さんちの柿は渋い」
5.濃淡、コク、油っぽさ
上述した5味や辛味などについても、「味の強さがどのくらいか」「コクがあるか」「油っぽいかどうか」の表現が、味を伝えるのに非常に重要となります。ここの表現方法をいろいろ覚えると便利ですよ!
<主な表現ワード>
・濃厚
・味が薄い
・こってり
・あっさり
・重い
・くどい
・コクがある
・キレがある
・厚みがある
・膨らみがある、幅がある
・上品な味
・まろやか
・パンチがある
・淡白な味
・物足りない
・ジューシー
<使用例>
・「このラーメン、こってりしててパンチがある。チャーシューはジューシー」
・「このシチュー、まろやかだけど上品な味がする」
※コクって何?正直良く分からないよ、という方は、以下の記事をご参照ください!
(参照:コクとは?~コク味物質「グルタチオン」と「グルタミルバリルグリシン」~)
6.食感
食感を表す日本語は非常に多彩です。
独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構食品総合研究所のデータによると
日本語の食感を表す単語は445語もあり、他の外国語よりも2倍くらい多いようです。言葉が豊富であるからこそ、日本人は味覚が繊細なのかもしれません。
<主な表現ワード>
・衣がサクサク
・とろける
・やわらかい
・ふわふわ
・かたい
・歯ごたえがある
・コリコリ
・くちどけがよい
・シャキシャキ
・パリパリ
・もちもち
<使用例>
・「この肉、すごく柔らかくて食べた瞬間にとろける」
・「このレタス、シャキシャキしてておいしい」
7.香り(匂い)、風味
食べ物の味は、匂い(嗅覚)に大きな影響を受けます。
例えば牛乳プリンにアーモンドエッセンスを加えるだけで、杏仁豆腐みたいな味になるように、香りで味が決まることも多いです。
<主な表現ワード>
・いい匂いがする
・香ばしい
・ツーンとする
・華やかな香り
・風味豊か
・芳醇な香り
<使用例>
・「この牛乳、風味が豊かだね」
・「このお煎餅、すごく香ばしい匂いがする」
<おまけ:「香り(匂い)」と「風味」の違い>
ゴードン・M・シェファードさん著の
「美味しさの脳科学:においが味わいを決めている」
という本によれば、
香り(匂い)⇒鼻から外気を吸うことで感じる匂い
(オルソネーザル香)
風味 ⇒口内から鼻に抜ける時に感じる匂い
(レトロネーザル香)
と定義されています。
つまり、鼻からクンクン嗅ぐのは「香り(匂い)」で、
何か食べた時に感じる匂いは「風味」というわけです。
よって、まだ食べてないのに「このバター、風味豊かだね」と言ってるドMの人がいたら、「いやいや食べてないのにどうやって風味を感じたの?バカですか?頭だけじゃなく鼻もおかしいんですね。一番おかしいのは顔ですけど」と、ここぞとばかりに罵ってあげましょう。
犬などの動物は人間より嗅覚が優れているというイメージがありますが、それはあくまで「香り(匂い)」つまりオルソネーザル香に対して敏感なのであって、人間は「風味」つまりレトロネーザル香を感じる能力が敏感らしいです。
8.色彩
食べ物の「色」も、味に影響を与えます。
(参照:「赤いコップと青いコップに入ったジュースはどっちが甘い?~食品の色彩と味覚の関係~」)
<主な表現ワード>
・色鮮やか
・カラフル(色彩豊か)
・食欲をそそる色合い
<使用例>
・「色鮮やかで美味しそうな創作料理ですね」
9.素材の味
もし、「キュウリ」を食べたことがない人に「キュウリ」の味を伝えるには何て表現しますか?
とても難しいです。
「キュウリの味」以外の言葉で正確に伝える自信はありません。
同様に、「カレー」を食べた時に、味を伝えるには「カレーの味」と言うのが一番分かりやすいです。
<主な表現ワード>
・レモンの味
・シナモンの香り
・カレー風味
・じゃがいもの甘みがある
・パクチーの味がする
・ピーマンのような苦味がある
・フルーティーな味
・イチゴみたいに甘酸っぱい
<使用例>
・「このスープはカレーの味がする。ネギの風味も豊か」
・「エシャレットは、島ラッキョウみたいな味」
この素材の味は、無限に表現できます。例えばイチゴでも、ブランドによって味が違うので
(参照:「あまおう」「紅ほっぺ」「あきひめ」どれが1番おいしい?~イチゴのおいしさと酸味感度の関係~)
「紅ほっぺ」と「あまおう」の味の違いを認識できていれば、あるブランドのイチゴを食べた時に
「これは、”紅ほっぺ”のような甘味と、”あまおう”のような酸味がある」
というような表現ができるのです!
いろんな種類の素材を食べて、その味を記憶することは、味覚を良くして、味の表現を豊かにするのに非常に重要なのです!!
以前、「レモンジーナは土の味がする」という話がちょっと有名になりましたが、私は土を食べたことなくて土の味が分からないので全く共感できませんでした(笑)。
10.お店の味、市販品の味
「素材の味」と同様に、お店独自の味や市販品の味の違いを認識して、表現する方法もあります。
<主な表現ワード>
・天下一品(ラーメン屋)のようなこってりした味
・吉野家の牛丼の味
・お母さんの味
・「生茶」みたいな苦味
・「アサヒスーパードライ」のようなキレ
<使用例>
・「このカレー、ココイチの10辛レベルに辛い」
・「この味噌汁、お母さんの味がする」
11.先味、中味、後味
「後味が悪い」みたいな表現しますよね。
食べてから味を感じるまでの時間で「先味」「中味」「後味」と区別します。
※味の強さと時間の関係を表した図のことを「TI図」と言います。(「Time」と「Intensity」)
(参照:ビールの味の表現で使われる「コク」と「キレ」とは?~先味、中味、後味の観点から考えてみる~)
<主な表現ワード>
・後味が良い
・先味が強い
・中味に厚みがある
<使用例>
・「この青汁、後味が悪いから飲みたくない」
・「このわさび、辛みが後に残る」
12.愛情、気持ち
今まで長々とお話しましたが、やっぱり、料理は「愛情」が一番のスパイスです^^
<主な表現ワード>
・心の込もった
・愛情あふれんばかりの味
・やさしい味
<使用例>
・「この卵焼き、愛の味がする」
すべてのコツを駆使すると・・・
「このカレー、あったかくて、食欲をそそる色合いで、風味が強くて、ココイチの5辛くらい辛くて、コクがあって、うま味が強くて、中味に厚みがあって、ニンジンの甘みがあって、肉がとろけるほど柔らくて、やさしい味がしてすごくおいしい」
となります。全部使おうとすると、とてもクドイですね笑。
特に食レポに挑戦してみようとしてる方、まずは使いやすいコツから使ってみましょう!
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本日のまとめ
・12のコツを駆使して、味を表現してみましょう!
・くんくん嗅ぐのは「香り」。食べた後に感じるのは「風味」
・奥さんの料理が、一番、愛情があって美味しいです!
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