多くの会社では、25日が給料日だと聞いています。
今月も給料ゲットされた方、羨ましいです。給料、たくさん欲しいですよね!
ところで、「給料(サラリー)」の語源は何だと思いますか?
実は、「塩(ソルト)」なのです!
昔は、給料として人々に塩が与えられていたようです。
(今、給料日に貰った封筒の中に、もし塩しか入ってなかったら僕は憤慨しますが・・・)
というわけで、今日は、塩味に関するお話をしたいと思います!
みなさんがよく食べている塩は、こんな感じのイメージだと思います。
よく「食塩」と書いてあるのを見かけますが、
みなさんは「塩」と「食塩」の違い、分かりますか?
「塩」と「食塩」の違いは?
これは、塩を「えん」と読むか「しお」と読むかでも変わるのですが・・・・
(理系の人にとっては、一般的に「塩」は「えん」と読むので、ここでは、「塩(えん)」と「食塩(しょくえん)」の違いについてご説明します。
「塩」とは・・・
酸由来のアニオン(陰イオン)と塩基由来カチオン(陽イオン)がイオン結合した化合物
のことです!
ちょっと何言ってるか分からないよ、と心の中で思った文系の人のためにもう少し分かりやすくご説明しますと、下のような感じです!
一方、「食塩」は、一般的に「塩化ナトリウム」を指します!
つまり、すごくたくさんある「塩」のひとつが、「食塩(塩化ナトリウム)」ということです!
※まあでも、理系じゃない人と会話するときに「塩」という言葉がでてきたら、普通は「食塩」のことを指していると思われます。
そして、5味(甘味、塩味、酸味、苦味、うま味)の中の「塩味」は、「塩(えん)の味」ではなく、「食塩の味」という意味です!
5味の中でも「塩味」だけは特別?
みなさん、「甘い」と感じる単一な物質は何だと思いますか?
「砂糖」「ブドウ糖」「果糖」、また、その他いろんな「甘味料」など、「甘味物質」は数えきれないほどたくさんあります!
(参照:砂糖、果糖、ブドウ糖はどれが一番甘いの?)
同様に、「すっぱい」と感じるもの(酸味物質)も、「クエン酸」「酢酸」「リンゴ酸」など複数あります。
(参照:梅干しやレモン、すっぱい食べ物はなぜおいしい?~クエン酸の機能~)
苦味物質も、「カフェイン」「キニーネ」など、結構たくさんあります!
(参照:コーヒーとビールとゴーヤの苦味成分は違う?~3大苦味成分の覚え方~)
うま味物質も、昆布の「グルタミン酸」、カツオ節の「イノシン酸」、しいたけの「グアニル酸」など、多くのものが知られています。
(参照:うま味は100年前に日本人が発見!~うま味成分と合わせダシの秘訣~)
しかーし!!
「塩味物質」は、「食塩」だけなのです!
(塩味+苦味などの複合的な味は食塩以外でも感じることができるが、純粋な塩味は食塩だけ)
「塩味」を感じるには、Na+(ナトリウムイオン)と、Cl-(塩化物イオン)の両方が影響を与えていると考えられています。塩味を感じるメカニズムとして、ENac(Epithelial Na+ Channel)と言われる上皮型ナトリウムチャネルが関与していることは知られていますが、詳細なメカニズムは現在でも解明されていません。
「食塩」はどうやって作るの?
食塩の原料は、海水です!(海水中には約3%の塩が含まれています。)
一般的な製法は、下記の通りです。
海水・・・約3%の塩分
⇩
イオン交換膜法で塩分を濃くする・・・約18%の塩分
(海水に電気を通して、イオン膜を活用して塩濃度を高くする)
⇩
加熱して、水分を蒸発させる
⇩
塩の出来上がり!
「食塩」と「にがり」の違いは?
海水中には、食塩の成分であるナトリウムだけじゃなく、マグネシウムやカルシウムなども含まれています。
なので、海水を全部、加熱・蒸発させると、食塩(塩化ナトリウム)以外に、塩化マグネシウムや塩化カルシウムなども多く含む塩ができます。
しかし、海水を加熱・蒸発させる時には、先に食塩(塩化ナトリウム)が結晶化して後から塩化マグネシウムなどが結晶化するので、途中で加熱・蒸発を止めてしまえば、食塩(塩化ナトリウム)のみが結晶化した粉を得ることができます!(残りの結晶化してないものには、塩化マグネシウムなどがたくさん含まれる)
このようにして、塩化ナトリウムの結晶を集めたものが「食塩」と言われ、(食塩の品質規格は「塩化ナトリウム99%以上」)、残りの成分(塩化マグネシウムなど)を「にがり」と言います。
「にがり」は、豆腐屋さんでよく使われます(豆乳を豆腐に変える凝固剤として使用)。
食塩を摂取しないと、体にどんな影響があるの?
塩は、下表に示すように、体にとって重要な、様々な生理的役割があります!
このように、「食塩」は非常に重要だからこそ、5味のなかでも、塩味は特別なのだと考えられます!
ヒトの体の塩分濃度はどのくらい?
結論をいうと、体(血液中)の食塩濃度は、約0.9%です。
この0.9%の食塩水(100gの水に食塩を0.9g 入れたもの)は「生理食塩水」と言われ、医療などの現場(点滴、注射等)で使用されます。そのくらい、ヒトにとって、食塩濃度は大切なのです!
味噌汁に入れる最適な食塩濃度は?
この流れならもうお分かりですね。
正解は、血液中の濃度と同じ、約0.9%です。
多くの文献に記載されている嗜好性調査によると、
味噌汁、おすまし、コンソメスープなどの塩分は、体の血液と同様の「0.9%付近が最も嗜好性が高い」と報告されています。
一方、ダシ(うま味成分)など、他の成分との組み合わせることにより、塩分をもっと少なくしても、嗜好性を高く維持できるいうデータもあります(詳細は次回の記事にて紹介予定)。
我が家の味噌汁の塩分が気になる方は、ぜひ測定してみましょう!最近は、いろんな塩分測定器が出ているようです。体温計みたいな感じで、簡単に塩分を測ることができますよ!
奥さんの作った味噌汁に対して、いきなり塩分を測定して、「なるほどね」と言うと、怒られるリスクが高いと思われます。使うシチュエーション、言葉に気を付けましょう。
その他の「食塩」の効果
<対比効果、抑制効果>
・スイカに塩をかけると甘く感じる
・ダシ(昆布、鰹節など)に塩を入れると、うま味が増す
などの効果を「対比効果」と言います。
また、
・寿司酢に塩を加えて酸味を和らげる
・焼き魚にレモンをかけて、塩っ辛さを和らげる
などの効果を「抑制効果」と言います!
(参照:なぜスイカに塩をかけるの?~隠し味の秘訣「対比効果」「抑制効果」「相乗効果」「変調効果」~)
「塩梅(あんばい)がいい」という言葉がありますが、これは、塩によって梅干しの酸味がちょうどよくなること(抑制効果)を表しているのです!
<脱水作用>
浸透圧の関係で、野菜に塩を振りかけると、中の水分を失い、しなーっとします。
いわゆる「青菜に塩」です。
※ヒトに対しても、いきなり塩を掛けると、しょんぼりさせてしまうと思われますので気を付けましょう。
ナメクジに塩を掛けると、リアルに致命的なダメージを与えてしまうので、やめましょう。
また、野菜炒めを作る際に、最後に塩を入れると、この「脱水作用」で料理が水っぽくなってしまうので注意が必要です。
<凝固(タンパク質)作用>
肉や魚に塩をかけて焼くと、タンパク質の凝固作用を早め、中のうま味成分が外側に流れ出てしまうのを防ぐことができます!
<防腐作用>
塩分濃度やアルコール濃度が高いと、細菌などの微生物が繁殖できなくなるので、食品の保存性を高めることができます!
<氷点降下>
食塩の飽和溶液は、水がマイナス20℃でも凍りません!
家でアイスキャンディーを作る時に、氷水に塩を入れるのはこのためです。遠洋漁業で魚を冷凍させる時にもこの氷点降下を利用しています。また、冬に道路が凍らないように、凍結防止剤としてもこの氷点降下が利用されています。
以上、塩に関するお話でした!
次回の記事では、減塩に関する内容(最新の塩味増強技術など)をご紹介したいと思います!
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本日のまとめ
・味噌汁の最適な塩分濃度は、ヒトの血液と同じ「約0.9%」
・「食塩」は主に塩化ナトリウム、「にがり」は主に塩化マグネシウムのこと
・野菜に塩をかけると、しおれる(ダジャレではない)
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